しかし、今年6月末に誕生したドゥテルテ政権は、米国との連携を強めたアキノ前大統領の外交方針転換を示唆。今月20日、東南アジア諸国連合(ASEAN)域外の初の外遊先として訪れた中国では「軍事的にも経済的にも米国と決別する」と述べた。関係者によると、この発言に日本の外務省では衝撃が走ったという。

「中国は南シナ海への主張をさらに強める可能性がある。東シナ海でも同様のことが予想され、日本にとっては頭が痛いだろう」と、調査会社IHSマークイットで東アジア情勢を分析するアリソン・エヴァンス氏は語る。「半年前よりも日本の懸念は深まった」と同氏は指摘する。

南シナ海問題をはじめ戦略的パートナーシップ強化を謳う?

 ドゥテルテ大統領は、25日から27日まで日本を訪問する。滞在中、日本側はフィリピンの海洋監視能力の向上支援をあらためて表明する見通し。両国政府の関係者によると、日本が9月に発表した大型巡視船の供与について署名する。フィリピンの農業支援や、ミンダナオ島の反政府勢力を取り締まるための小型船供与についても合意する可能性がある。

 すでに貸与で合意している海上自衛隊の航空機TC-90については、リース価格など詳細な条件を決める方向で調整している。日本は同機を通じて両国の防衛協力を深めたい考えで、11月にはフィリピン軍のパイロット2人を徳島県の海上自衛隊基地で訓練する予定だ。

 大統領は日本の民間企業との会合も計画しており、現地に工場を持つトヨタ自動車 <7203.T>や三菱自動車工業 <7211.T>などに投資拡大を呼びかける考え。最終日には天皇陛下に面会する。

 菅義偉官房長官は21日の定例会見で「この機会をとらえて戦略的パートナーシップの一層の進展に向けて、しっかり取り組んでいきたい」と発言。フィリピン政府の報道官は大統領の訪日を前に「日本との活気ある関係を高く評価している」とコメントした。

 (久保信博、ティム・ケリー 取材協力 リンダ・シーグ 編集:田巻一彦)



[ロイター]
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