最新記事

ハッカー

アメリカ民主党の機密メール流出、ロシアの関与示す証拠

2016年7月26日(火)18時56分

7月25日、米当局者とサイバーセキュリティーの専門家は、米民主党全国委員会のシステムがハッキングされ、機密情報を記した電子メールが流出した問題で、ロシアが米大統領選に影響を与える目的で流出に関与したことを示す証拠があると明らかにした。写真はベルリンで2013年5月撮影(2016年 ロイター/Pawel Kopczynski)

 米当局者とサイバーセキュリティーの専門家は25日、米民主党全国委員会(DNC)のシステムがハッキングされ、機密情報を記した電子メールが流出した問題で、ロシアが米大統領選に影響を与える目的で流出に関与したことを示す証拠があると明らかにした。

 米連邦捜査局(FBI)はDNCへのサイバー攻撃について捜査していると発表した。サイバー攻撃自体は6月時点で当局やサイバーセキュリティー専門家に知られていたが、民主党がヒラリー・クリントン前国務長官を正式に大統領候補に選出する全国大会の開催直前に党内部の電子メールをリークするというタイミングに米政府当局者は注目している。

 米政府の捜査に関わるある当局者は匿名を条件に、サイバー攻撃についてこれまでに集められた情報は「ロシアで計画が練られたことを合理的疑いの余地なく示している」と指摘。

 メールをリークしたタイミングは「敵にダメージを与えるための典型的な諜報作戦のあらゆる特徴を表している」とした。一方、ロシアのプーチン政権がサイバー攻撃を指示したと確実に証明することは不可能かもしれない、とも述べた。

 DNCから流出した電子メールは、内部告発サイト「ウィキリークス」が22日にリークした。この中にはクリントン氏の対立候補だったバーニー・サンダース上院議員の快進撃を食い止めようと画策するメールも含まれ、本来、中立な立場であるはずのDNCがクリントン氏に肩入れしていた事実が暴露された。

 DNCのデビー・ワッサーマンシュルツ委員長は24日、この問題の責任を取る形で辞任を表明した。

 米下院情報特別委員会のメンバーである民主党のアダム・シフ議員は、同委員会はDNCへのサイバー攻撃について説明を受けたとし、「外国にいる犯人は大統領選への影響を画策している可能性がある」と発言。今後はロシアあるいは他国との関連について情報を求めていくとした。

 クリントン陣営の選挙運動責任者は24日、CNNに対し、専門家の話として、共和党の大統領候補に指名されたドナルド・トランプ氏を支援する目的でロシアのハッカーらによってDNCのメールが公表されたとの見方を示した。

 一方、トランプ陣営はクリントン陣営の主張をばかげているとして退けた。

[ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

石破首相「双方の利益になるよう最大限努力」、G7で

ワールド

米中貿易枠組み合意、軍事用レアアース問題が未解決=

ワールド

独仏英、イランに核開発巡る協議を提案 中東の緊張緩

ワールド

イスラエルとイランの応酬続く、トランプ氏「紛争終結
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 7
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 8
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 9
    4年間SNSをやめて気づいた「心を失う人」と「回復で…
  • 10
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 9
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中