最新記事

米大統領選

暴言男トランプが米共和党の支持率トップに

問題発言で世間を騒がせているうちにトップに立ってしまったが、大統領への道は?

2015年7月23日(木)18時30分
ジンジャー・ギブソン

キワモノ候補 民主党の最有力候補ヒラリー・クリントンにはかなわなそう L.E. Baskow-REUTERS

 リアリティー番組でおなじみの不動産王ドナルド・トランプが、来年の米大統領選に向けた共和党の指名争いでトップを走っている。ただし民主党の最有力候補ヒラリー・クリントンとの一騎打ちになった場合は、共和党候補者の中で一番分が悪そうだ。

 サフォーク大学とUSAトゥデーが行った全米規模の調査では、共和党の有権者の17%がトランプを支持。2位のジェブ・ブッシュは14%、3位のスコット・ウォーカーは8%だった。

 もっとも、トランプが予備選を本気で戦う気があるかは疑問だ。選対本部の体制も整っていないし、問題発言を繰り返しては共和党主流派を困惑させている。つい最近も、メキシコ系移民は麻薬や犯罪を持ち込むし、レイプ犯でもあるとコメントして物議を醸したばかりだ。移民に対する差別的発言は中南米系の票を失わせかねない。

 世論調査でも、この発言には多くの有権者がノーを突き付けた。共和党、民主党、独立系支持を合わせた有権者全体の48%がトランプの発言は「大いに」問題だと答え、10%が「多少」問題だと答えた。問題ではないという回答は35%、どちらとも言えないは5%だった。

 発言を聞いてトランプに投票するのを見合わせるとした人は48%。まさに口は災いのもとだ。今回の調査では、民主党の指名候補をクリントンと想定。彼女と戦ったとき、共和党の有力候補のうち、誰に一番勝ち目があるかを比較した。トランプ対クリントンでは、クリントン支持は51%で、トランプ支持は34%。クリントンの支持率が50%を超えたのは、トランプと対決した場合だけだった。

 それでもなぜか、共和党候補の中では一番人気のトランプ。今の勢いなら、8月に行われる共和党候補のTV討論会に真っ先に登場してもおかしくない。ただし、その場限りで「トランプ劇場」にはあっけなく幕が下りそうだが。

[2015年7月28日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米中貿易枠組み合意、軍事用レアアース問題が未解決=

ワールド

独仏英、イランに核開発巡る協議を提案 中東の緊張緩

ワールド

イスラエルとイランの応酬続く、トランプ氏「紛争終結

ワールド

英、中東に戦闘機を移動 地域の安全保障支援へ=スタ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 2
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 3
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生きる力」が生んだ「現代医学の奇跡」とは?
  • 4
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 5
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 6
    構想40年「コッポラの暴走」と話題沸騰...映画『メガ…
  • 7
    逃げて!背後に写り込む「捕食者の目」...可愛いウサ…
  • 8
    「結婚は人生の終着点」...欧米にも広がる非婚化の波…
  • 9
    4年間SNSをやめて気づいた「心を失う人」と「回復で…
  • 10
    メーガン妃の「下品なダンス」炎上で「王室イメージ…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 5
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 6
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 7
    ふわふわの「白カビ」に覆われたイチゴを食べても、…
  • 8
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 9
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 10
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中