12歳で突然、50人に1人の「脱毛症」に...髪の毛を失った私が「ミスコン」に出場するまで
Bald and Proud

ミスコンではイブニングドレスを着て夫と一緒に笑顔を見せた ELIZABETH SEVIGNY
<自己免疫疾患で髪を失い、一時は自死も頭をよぎった。それでも「強いロールモデル」になろうと決意できた理由>
数学の授業でのこと。何げなく黒髪に指を通したら、ハゲている箇所に触れた。帰宅後、泣きながら母に話すと、皮膚科に連れて行かれ、ステロイド注射を打たれた。「円形脱毛症」という言葉を聞いたのはその時が初めて。
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私は12歳だった。もともと毛量が多く、小さなハゲは残っている髪で隠せたから、当初はさほど気にしなかった。
学年が上がると自分を醜いと感じ、外に出るのが苦痛になった。抜け毛が治っても、心理的な傷は消えなかった。
2022年9月。再び抜け毛に気付いた。しかも今回は小さなハゲがいくつかではない。長い黒髪がごっそり抜けていた。
またすぐ生えると自分に言い聞かせていたが、夫に説得されて、とうとうクリニックに行くことに。それからは鏡の前に立って1日3回、頭に薬を塗るようになった。けれども抜け毛は悪化の一途をたどった。それも急速に......。
この時の苦しみはとても言葉では言い表せない。1人で思い詰め、「もう何もかも終わりにしたい」とさえ思った。
診断名は自己免疫疾患の脱毛症。自分の体が健康な毛包を攻撃する病気で、50人に1人がかかるという。原因ははっきりしないが、ストレスが引き金になることもある。
私はただただ孤独だった。
転機になったのは妊娠が分かったこと。脱毛症の治療を始めて1カ月余りたっていたが、おなかの子供のために薬をやめることにした。病気への向き合い方が変わり始めたのは、それからだ。