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ドローンは「自動車のない世界に現れた電気自動車」なのか

発展途上で、矛盾を内包し、しかし可能性に溢れた新技術を解説する『ドローン・ビジネスの衝撃』

2015年7月31日(金)18時30分
印南敦史(書評家、ライター)

『ドローン・ビジネスの衝撃――小型無人飛行機が切り開く新たなマーケット』(小林啓倫著、朝日新聞出版)は、さまざまな話題を振りまくドローンについての誤解や無理解を解消してくれるだろう。

 などと偉そうに書いてみてはいるが、私はまず、自分自身がドローンの可能性をあまり理解できていないタイプであったことを認めざるを得ない。少なくとも本書を読むまでは、具体的なビジョンをわかりやすく提示してくれた3Dプリンタなどと違って、ドローンがそこいらをブンブン飛び回っているような未来が訪れるということを、あまりイメージできなかった。

 たしかに、アマゾンが2013年にドローンによる宅配サービス「Prime Air」構想を発表したときには、その未来的な発想に興奮はした。が、少なくとも目に見える範囲内で、そういったことが実現することはなかった。「早ければ2015年にスタートする」といわれていたはずのPrime Airも、まだ始まっていない。

 それどころか、少年が人ごみのなかでドローンを飛ばして世間を騒がせたり、首相官邸にドローンが落下したり......。ネガティブなことばかりが立て続けに起きたものだから、逆によくないイメージがついてしまったといっても過言ではない。しかもその一方で、「ぶつからないの?」「落ちないの?」というレベルの単純な疑問を、いつまでたっても解消できなかったのである。

 だから、数々の疑問について、事例や関係者へのインタビューなども盛り込んでわかりやすく解説してくれる本書は役に立った。ここで著者は、ドローンがまだまだ発展途上にあることを認めたうえで、その先にある可能性を見極めている。

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