最新記事

金価格が過去最高を更新、「異例の急騰」招いた要因とは...金相場はまだ上がる? それとも下がる?

Gold Price Hits Record High—What It Says About US Economy

2025年9月5日(金)18時00分
ヒュー・キャメロン
金塊とトランプ

金の価格上昇はトランプ政権によるものなのか Shutterstock AI-shutterstock

<金は政治や経済が不安定な時の「安全資産」として、昔から投資家から愛されてきたが>

金の価格はかつてない急騰を見せており、過去の価格記録を塗り替えた。経済的、政治的な不安が入り混じるなか、投資家や各国政府の間で、古くから「安全資産」とされてきた金への信頼が再び高まっている。

今年2025年は特に堅調で、金はこれまでに約35%上昇し、株式指数や主要な暗号通貨を上回るパフォーマンスを見せた。金価格は9月2日、史上初めて1トロイオンス(貴金属の計量に使用される単位。約31グラム)あたり3500ドルを突破した。


金は歴史的に、経済が不安定な時期に資産の逃避先とされてきた。インフレ、法定通貨の信頼性リスク、政治的混乱といった状況下で、投資家たちは金に資金を移す傾向がある。

本誌の取材に応じた専門家たちは、金価格の上昇にはさまざまな要因があるとしながらも、アメリカ経済を巡る「不確実性」と「慎重姿勢」が中心的な要因だと述べた。

スタンダードチャータードの貴金属アナリスト、スキ・クーパーは「地政学的、経済的、貿易面での不確実性が高まる中で、価格を動かす要因が変化し、それが金の上昇を後押ししている」と語る。

「アメリカ国内のみならず、世界的にも投資家の関心が高まっている」

貴金属取引プラットフォーム、ブリオンボールトの調査責任者、エイドリアン・アッシュは、経済に長期的に悪影響を与える構造的要因に加え、「目下のニュース」が投資心理に影響を与えていると指摘した。

「たとえば、4月に株式市場が解放の日(トランプが世界中の国への相互関税を発表した4月2日を指す)を受けて急落した時のような、具体的な事件とは異なる。今回の金価格上昇は、明確な要因があるわけではない」
アッシュによると、トランプの貿易・外交政策が「過去30〜40年に築かれた世界秩序を大きく揺るがしている」ことも、危機を察知している投資家の背中を押しているという。

そして、金価格の上昇は、米財務省の試算によると37兆ドルを超えるアメリカ政府の財政赤字の持続可能性に対する懸念にも関係していると述べた。

事件
ニューズウィーク日本版メンバーシップ登録
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ロシア、インドの原油購入停止「承知せず」 米印合意

ワールド

ロシア、ウクライナのエネ施設に集中攻撃 新たな3カ

ワールド

焦点:外為特会、減税財源化に3つのハードル 「ほく

ワールド

スペイン、16歳未満のソーシャルメディア利用禁止へ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプの帝国
特集:トランプの帝国
2026年2月10日号(2/ 3発売)

南北アメリカの完全支配を狙うトランプの戦略は中国を利し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 2
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗り物から「勝手に退出」する客の映像にSNS批判殺到
  • 3
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れるアメリカ」に向き合う「日本の戦略」とは?
  • 4
    トランプ不信から中国に接近した欧州外交の誤算
  • 5
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 6
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から…
  • 7
    地球の近くで「第2の地球」が発見されたかも! その…
  • 8
    最長45日も潜伏か...世界が警戒する「ニパウイルス」…
  • 9
    中国政府に転んだ「反逆のアーティスト」艾未未の正体
  • 10
    関節が弱ると人生も鈍る...健康長寿は「自重筋トレ」…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界でも過去最大規模
  • 3
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「副産物」で建設業界のあの問題を解決
  • 4
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から…
  • 5
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 6
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 7
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化は…
  • 8
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに..…
  • 9
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 10
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 8
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 9
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中