最新記事

レアメタル

韓国、脱中国依存を進める 国内タングステン鉱山30年ぶりの再開へ

2022年5月14日(土)10時48分
韓国・江原道のタングステン鉱山近くの町並み

レアメタル(希少金属)のタングステンを産する韓国の上東鉱山では、約30年ぶりの操業再開に向けて大規模な改修工事が進んでいる。写真は韓国・江原道のタングステン鉱山近くの村で3月撮影(2022年 ロイター/ Heo Ran)

レアメタル(希少金属)のタングステンを産する韓国の上東鉱山では、約30年ぶりの操業再開に向けて大規模な改修工事が進んでいる。デジタル時代を迎え、スマートフォンや半導体、電気自動車(EV)やミサイルまで幅広い分野でタングステンに新たな価値が見出されたためで、操業再開は韓国が主要レアメタルの中国依存を断ち切るきっかけになるかもしれない。

ソウルから南東180キロに位置する上東鉱山を所有するアルモンティ・コリア・タングステンのリー・ドンセブ副社長は、再開の理由について「天然資源の所有権を有していることを意味するからだ」と説明。「資源は武器に、戦略資産になった」と述べた。

ロイターが各国政府や企業の発表を調査したところ、中国を除く全世界で操業の立ち上げか再開が行われた鉱山と鉱物加工プラントが少なくとも30カ所あり、上東鉱山もその1つ。

業界のこうした動きは、グリーンエネルギーへの移行に欠かせない貴重な鉱物資源の供給確保で、世界中の国々が圧力にさらされていることを示している。

国際エネルギー機関(IEA)が昨年公表した予測によると、レアメタル全体の需要は2040年までに4倍に増え、EVやバッテリー向けでは30倍に膨らむ見通しだ。

こうした資源の多くは中国が採掘、加工、精錬で支配的な立場にあり、多くの国は鉱物資源の確保を国家安全保障の問題と捉えている。

中国地質調査所の2019年の調査では、中国は重要な鉱物で米国と欧州向けの最大の供給国だ。米国が重要鉱物に分類する35種類のうち、クリーンエネルギー技術に不可欠な13種類で供給量が最大であり、バッテリーに使用されるアンチモンなど欧州連合(EU)が重要鉱物とする21種類で最大の供給国となっている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アングル:「豪華装備」競う中国EVメーカー、西側と

ビジネス

NY外為市場=ドルが158円台乗せ、日銀の現状維持

ビジネス

米国株式市場=上昇、大型グロース株高い

ビジネス

米PCE価格指数、インフレ率の緩やかな上昇示す 個
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 4

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」…

  • 5

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 6

    アカデミー賞監督の「英語スピーチ格差」を考える

  • 7

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 8

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 9

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 10

    大谷選手は被害者だけど「失格」...日本人の弱点は「…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 9

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 10

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈する動画...「吹き飛ばされた」と遺族(ロシア報道)

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中