最新記事

貿易

WTO、EUによる4200億円相当の米製品への関税を承認 ボーイング補助金問題をめぐり

2020年9月30日(水)11時33分

WTO(世界貿易機関)は30日、欧州連合(EU)による40億ドル相当の米製品への関税を承認した。REUTERS/Denis Balibouse/File Photo

WTO(世界貿易機関)は、欧州連合(EU)が米政府による米航空機大手ボーイングへの補助金支給に対する報復として40億ドル相当の米製品に関税を課すことをを承認した。

事情に詳しい関係筋が明らかにした。

米政府は昨年、EUによるエアバスへの補助金に対する報復関税がWTOに承認されたのを受け、75億ドル相当の欧州製品に輸入関税を発動した。

米国とEUは航空機補助金の違法性を巡って、16年にわたりWTOで争ってきた。

双方は25日にWTOの紛争機関の決定について知らさており、数週間内に公表される見通し。

米通商代表部(USTR)とEUのワシントン事務所はコメントの求めにこれまでのところ応じていない。

ボーイングはWTOの決定に関する報道についてコメントを控えたが、紛争解決に向けワシントン州での税優遇措置を辞退した同社の決定をエアバスが無視したと批判した。

エアバスも最近、米欧の紛争解決に向け、フランスとスペインから借り入れた開発資金に対する支払金利の引き上げに合意したと発表している。

ボーイング機を含む米製品にEUが実際に報復関税を発動するにはWTOの正式承認が必要で、米欧の関係筋によると、11月3日の米大統領選前に発動する可能性は低いという。

欧州の関係筋はまた、今回の承認に含まれない42億ドル相当の製品に関税を課す可能性を指摘した。

アナリストは、WTOがEUの対米報復関税を承認することで、長年の膠着状態がようやく解消する可能性があると指摘。

元米商務省高官で現在は米戦略国際問題研究所(CSIS)に在籍するウィリアム・ラインシュ氏は「誰もがこの決定を待っていた。交渉の土台になる」と述べた。

*内容を追加します。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・ロシア開発のコロナワクチン「スプートニクV」、ウイルスの有害な変異促す危険性
・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ
・パンデミック後には大規模な騒乱が起こる
・日本がついに動く実物大のガンダムを建造、ファンに動画が拡散


ニューズウィーク日本版 ハーバードが学ぶ日本企業
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年9月30日号(9月24日発売)は「ハーバードが学ぶ日本企業」特集。トヨタ、楽天、総合商社、虎屋……名門経営大学院が日本企業を重視する理由

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら



今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

東証がグロース市場の上場維持基準見直し、5年以内に

ビジネス

ニデック、有価証券報告書を提出 監査意見は不表明

ビジネス

セブン銀と伊藤忠が資本業務提携 ファミマにATM設

ワールド

トランプ氏、日韓の対米投資「前払い」 見解の相違と
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ハーバードが学ぶ日本企業
特集:ハーバードが学ぶ日本企業
2025年9月30日号(9/24発売)

トヨタ、楽天、総合商社、虎屋......名門経営大学院が日本企業を重視する理由

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    週にたった1回の「抹茶」で入院することに...米女性を襲った突然の不調、抹茶に含まれる「危険な成分」とは?
  • 2
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、Appleはなぜ「未来の素材」の使用をやめたのか?
  • 3
    トイレの外に「覗き魔」がいる...娘の訴えに家を飛び出した父親が見つけた「犯人の正体」にSNS爆笑
  • 4
    コーチとグッチで明暗 Z世代が変える高級ブランド市…
  • 5
    クールジャパン戦略は破綻したのか
  • 6
    中国、ネット上の「敗北主義」を排除へ ――全国キャン…
  • 7
    【クイズ】ハーバード大学ではない...アメリカの「大…
  • 8
    日本の小説が世界で爆売れし、英米の文学賞を席巻...…
  • 9
    琥珀に閉じ込められた「昆虫の化石」を大量発見...1…
  • 10
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 1
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 2
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分かった驚きの中身
  • 3
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ」感染爆発に対抗できる「100年前に忘れられた」治療法とは?
  • 4
    筋肉はマシンでは育たない...器械に頼らぬ者だけがた…
  • 5
    【動画あり】トランプがチャールズ英国王の目の前で…
  • 6
    日本の小説が世界で爆売れし、英米の文学賞を席巻...…
  • 7
    コーチとグッチで明暗 Z世代が変える高級ブランド市…
  • 8
    「ミイラはエジプト」はもう古い?...「世界最古のミ…
  • 9
    「何だこれは...」クルーズ船の客室に出現した「謎の…
  • 10
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 4
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 5
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 6
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 7
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 8
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 9
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が…
  • 10
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中