最新記事

ワクチン

バイオ製薬アンジェスと大阪大学、新型コロナウイルスのワクチンを共同開発 最短6カ月で臨床試験

2020年3月5日(木)15時50分

アンジェスは、大阪大学と共同で新型コロナウイルス対策のための予防用DNAワクチンの開発を行うことを決定したと発表した。写真は都内で2日撮影(2020年 ロイター/Athit Perawongmetha)

アンジェスは5日、大阪大学と共同で新型コロナウイルス対策のための予防用DNAワクチンの開発に着手したと発表した。両者のDNAプラスミド製品の開発実績を生かす。すでに実験用ワクチンの製造を始めたという。

DNAワクチンの製造は、不活化ウイルスをワクチンとする方法(弱毒化ワクチン)や遺伝子組換えウイルスタンパク質をワクチンとする方法に比べて、短期間で製造プロセスを確立することが可能という。 製造は、プラスミドDNAの製造技術と製造設備を持つタカラバイオが担当する。

大阪大学大学院の森下竜一教授(医学系研究科臨床遺伝子治療学)は記者会見で、共同開発するワクチンは短期間で大量生産することが可能とし、安全性が高く副作用も想定されないと説明した。その上で、早ければ6カ月で臨床試験ができるとの見通しを示した。

アンジェスの山田英社長は、開発・製造に対する政府の助成金交付について交渉を始めていることを明らかにした。

森下教授によると、現在はDNAプラスミド法によるワクチン製造を始めており、早ければ6カ月で臨床試験ができる見通しという。また、動物実験のためのワクチンはあと2週間程度でできるという。

ただ、ワクチンの市販化までには、当局による承認が必要となる。ワクチンが市場に供給される時期について、山田社長はまだ不明としたが、森下教授は「承認手続きに関してどれだけ簡素化できるか各国規制当局とこれから相談したい」と述べた。

森下教授によると、DNAプラスミドワクチンについては、10年以上前から12種類のDNAワクチン臨床試験で合計1400人以上に投与されており、高い安全性が確保されているという。このため、コロナウイルスのワクチンに関しても副作用は「想定されない」と述べた。

*写真を追加しました。

(宮崎亜巳 編集:高木匠)

[東京 5日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【関連記事】
・新型コロナウイルスは2種類ある── 中国の研究者が「暫定見解」
・イタリアが「欧州の武漢」に なぜ感染は急速に広がったのか
・NY州知事「日本などからの留学生300人チャーター機で帰国へ」


20200310issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年3月10日号(3月3日発売)は「緊急特集:新型肺炎 何を恐れるべきか」特集。中国の教訓と感染症の歴史から学ぶこと――。ノーベル文学賞候補作家・閻連科による特別寄稿「この厄災を『記憶する人』であれ」も収録。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:動き出したECB次期執行部人事、多様性欠

ビジネス

米国株式市場=ダウ493ドル高、12月利下げ観測で

ビジネス

NY外為市場=円急伸、財務相が介入示唆 NY連銀総

ワールド

トランプ氏、マムダニ次期NY市長と初会談 「多くの
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やってはいけない「3つの行動」とは?【国際研究チーム】
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワイトカラー」は大量に人余り...変わる日本の職業選択
  • 4
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 5
    中国の新空母「福建」の力は如何ほどか? 空母3隻体…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    ロシアのウクライナ侵攻、「地球規模の被害」を生ん…
  • 8
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 9
    「裸同然」と批判も...レギンス注意でジム退館処分、…
  • 10
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 9
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 10
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中