最新記事

日本企業

日産、不正報酬の西川社長留任の方向 「火中の栗拾う」後任不在の現状露呈

2019年9月7日(土)11時16分

悩ましい後任選定

西川社長は今年5月の決算発表で、「2年か3年で、元に戻す」と語るなど、業績回復を自ら成し遂げた後、しかるべき時期に後継者へ引き継ぎたいとの意向を示している。ある日産幹部は「西川社長は職にとどまることに執着しているわけではない」と擁護する。

実際、日産社内では、今回の不正報酬受領問題が発覚する前から西川氏の後任を探す動きがあったが、暫定指名・報酬諮問委員会委員長だった井原慶子社外取締役は「経営の安定性と継続性」を優先した、と西川氏続投の理由を語っていた。指名委員会も今回の不正報酬問題とは別に、7月から西川社長の後任選びに着手している。

「社内外、国籍を問わず世界中から候補を探している」(事情に詳しい関係者)というが、 筆頭株主の仏自動車大手ルノーとの経営統合や資本関係見直しを巡る問題がいまだ解決せずくすぶり続ける中で「火中の栗を拾いたがる人はなかなかいない」と日産幹部は話す。

むしろ、ルノーとの統合に反対している西川社長が矢面に立って交渉を取り仕切る方が円滑に進むとの思惑もあるという。先の幹部は、不正報酬受領問題を「ここぞとばかりに西川降ろしに使われるのだけは避けたい」と語っている。

とはいえ、ゴーン被告追及の急先鋒だった西川社長が逆に糾弾される事態となり、世間の日産経営陣への風当たりは強まっている。社員の士気低下や企業イメージがさらに悪化するリスク、後任選びの難しさとの間で揺れる日産の先行きは、なかなか晴れない。

(白木真紀 取材協力:Linda Sieg 編集:平田紀之)

[東京 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 「外国人問題」徹底研究
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2026年1月27号(1月20日発売)は「『外国人問題』徹底研究」特集。「外国人問題」は事実か錯覚か。移民/不動産/留学生/観光客/参政権/社会保障/治安――7つの争点を国際比較で大激論

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

豪州の大手年金基金、米ドルのエクスポージャー縮小 

ワールド

トランプ氏、プーチン大統領を「平和評議会」に招待

ワールド

ミャンマー総選挙、ASEANは認定せず=マレーシア

ビジネス

イケア、インド投資を5年で2倍超に 店舗数拡大へ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:「外国人問題」徹底研究
特集:「外国人問題」徹底研究
2026年1月27日号(1/20発売)

日本の「外国人問題」は事実か錯誤か? 7つの争点を国際比較で大激論

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「耳の中に何かいる...」海で男性の耳に「まさかの生物」が侵入、恐怖映像と「意外な対処法」がSNSで話題に
  • 2
    「死ぬところだった...」旅行先で現地の子供に「超危険生物」を手渡された男性、「恐怖の動画」にSNS震撼
  • 3
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向」語る中、途方に暮れる個人旅行者たち
  • 4
    中国のインフラ建設にインドが反発、ヒマラヤ奥地で…
  • 5
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の…
  • 6
    中国、欧米の一流メディアになりすまして大規模な影…
  • 7
    【総選挙予測:自民は圧勝せず】立憲・公明連合は投…
  • 8
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世…
  • 9
    AIがついに人類に「牙をむいた」...中国系組織の「サ…
  • 10
    中国ネトウヨが「盗賊」と呼んだ大英博物館に感謝し…
  • 1
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率が低い」のはどこ?
  • 2
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世界一危険」な理由
  • 3
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試掘の重要性 日本発の希少資源採取技術は他にも
  • 4
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 5
    正気を失った?──トランプ、エプスタイン疑惑につい…
  • 6
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の…
  • 7
    「高額すぎる...」ポケモンとレゴのコラボ商品に広が…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 9
    世界最大の埋蔵量でも「儲からない」? 米石油大手が…
  • 10
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中