最新記事

自動車

VWだけじゃない、排ガス不正

2015年10月2日(金)11時00分
コール・スタングラー

 この種の違反は1970年にEPAが創設され、大気浄化法の下で自動車の排ガス規制が導入された当初からあった。VWは73年、2万5000台の車両に規制逃れの機能をひそかに搭載したことを認めている。

 翌年には、クライスラー(現フィアット・クライスラー・オートモービルズ)がラジエーターに同様の機能を搭載していたことが発覚。80万台以上のリコールに追い込まれた。

 90年代に入ると、大きなスキャンダルが相次いだ。ゼネラル・モーターズ(GM)は95年、エアコン使用時に一酸化炭素の排出量を規制値の3倍近くにするコンピューターチップを50万台近くのキャデラックに搭載していたことを認め、4500万ドルの制裁金支払いで米司法省、EPAと和解した。

 98年には、建設機械大手キャタピラーなど3社が、トラックに同様の機能を搭載したとして10億ドルの支払いを受け入れた。

 最近では昨年11月、韓国の現代・起亜自動車が120万台の燃費性能を誇張していたことを認め、3億ドルを支払うことで司法省、EPAと和解した。

改革を阻む共和党の壁

 シエラクラブのプレンティスダンは、抜き打ち検査の回数を増やすだけでも抑止効果が期待できると語る。実際、EPA交通・大気汚染管理局のクリス・グランドラー局長はAP通信に対し、近いうちにそうする可能性もあると語った。

 ただし、グランドラーは排ガス検査の具体的な強化策については明言を避けた。「彼ら(自動車メーカー)にそれを知らせる必要はない。車両検査の時間と走行距離を少し伸ばすことだけ理解してくれればいい」

 自動車安全センターのベッカーは、監視の強化は好ましい変化だが、規制当局は検査データをメーカーに依存する現状からの脱却をさらに進める必要があると指摘する。「自動車業界が信頼できないことは過去の実績が物語っている。メーカーが『うちの車は基準に適合しています。すべて問題なしです』と言っても、EPAは信じてはいけない。当局は検査体制を改善し、メーカー側の数値に依存しないようにすべきだ」

 規制当局が内部で検査を実施するか、それとも当局の監督下で独立した研究機関に検査を任せるべきか、改革案の詳細はベッカーにも分からない。いずれにせよ、メーカーを検査に関与させないことが重要だという。その場合、検査コストの一部は形式的に納税者の負担になるが、最終的に大半の費用をメーカーに負担させる仕組みが必要だと、ベッカーは言う。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米労働生産性改定値、25年第4四半期は1.8%上昇

ビジネス

エネルギー高、22年より広範に定着の可能性=オラン

ワールド

パキスタン首相「米・イラン協議開催の用意」、中東紛

ワールド

米国務長官、27日のG7外相会合で中東・ウクライナ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:BTS再始動
特集:BTS再始動
2026年3月31日号(3/24発売)

3年9カ月の空白を経て完全体でカムバック。世界が注目する「BTS2.0」の幕開け

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」モナコ舞踏会に見る富と慈善
  • 2
    中国の公衆衛生レベルはアメリカ並み...「ほぼ国民皆保険」を達成した中国の医療保険の実態とは
  • 3
    レストラン店内で配膳ロボットが「制御不能」に...店員も「なすすべなし」の暴走モード
  • 4
    【クイズ】2年連続で「世界幸福度ランキング」で最下…
  • 5
    イランは空爆により核・ミサイル製造能力を「喪失」…
  • 6
    「日本人のほうが民度が低い」を招いてしまった渋谷…
  • 7
    表情に注目...ニコール・キッドマン、大富豪夫妻から…
  • 8
    「買ったら高いじゃん?」アカデミー賞会場のゴミ箱…
  • 9
    イラン戦争、トランプを泥沼に引きずり込む「5つの罠…
  • 10
    スペイン王室、王妃と王女の装いに見る「母から娘」…
  • 1
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 2
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え時の装いが話題――「ファッション外交」に注目
  • 3
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が発生し既に死者も、感染源は「ナイトクラブ」
  • 4
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 5
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 6
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する…
  • 7
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 8
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ…
  • 9
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 10
    「マツダ・日産・スバル」が大ピンチ?...オーストラ…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中