最新記事

未来

世界を食らうテクノロジー(1/2)

2015年7月13日(月)19時46分
ケビン・メイニー

 新しいテクノロジーは本来、希望をもたらすものであって絶望ではない。それは人々を興奮させるものだ。科学と技術は過去2世紀ほど、ポジティブなイメージの恩恵を受けてきた。「悪役」扱いされたことはほとんどない。テクノロジー会社が自社イメージの心配をしなければならないことはほとんどなかった。

 その雰囲気が、過去1〜2年ほどの間にがらりと変わった。人々は初めて、AIを脅威として意識し始めた。足元の失業率は低いけれど、長期的な展望はよくなさそうだし、賃金も上がらなそうだ。金持ちとそうでない人との格差も拡大している。

ニュース記事も書けるしローン審査もできる

 フォードの本や、マサチューセッツ工科大学(MIT)のエリク・ブリニョルフソン、アンドリュー・マカフィーが書いた『機械との競争Race Against the Machine』では、AIは生産ラインを自動化するように知的労働をも既に自動化している。AIはニュース記事を書き、料理のレシピを創作し、車を運転し、ローンを組む資格があるのは誰かを判断する。AIが知的作業まで置き換えるようになるにつれて、高所得を稼げる人はどんどん少なくなり、雇い主は従来よりはるかに少ない労働者しか必要としなくなる。

 コンピューター研究者のマーク・アンドリーセンのキャッチコピーは「ソフトウエアが世界を食べる」だ。ますます多くの人々が、ソフトウエアが彼らの職を奪ってしまうのではないかと恐れ始めている。

*第2回目の記事はこちら→

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

トランプ氏、雇用統計「不正操作」と主張 労働省統計

ビジネス

労働市場巡る懸念が利下げ支持の理由、FRB高官2人

ワールド

プーチン氏、対ウクライナ姿勢変えず 米制裁期限近づ

ワールド

トランプ氏、「適切な海域」に原潜2隻配備を命令 メ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ関税15%の衝撃
特集:トランプ関税15%の衝撃
2025年8月 5日号(7/29発売)

例外的に低い日本への税率は同盟国への配慮か、ディールの罠か

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 3
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿がSNSで話題に、母親は嫌がる娘を「無視」して強行
  • 4
    カムチャツカも東日本もスマトラ島沖も──史上最大級…
  • 5
    【クイズ】2010~20年にかけて、キリスト教徒が「多…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    これはセクハラか、メンタルヘルス問題か?...米ヒー…
  • 8
    一帯に轟く爆発音...空を横切り、ロシア重要施設に突…
  • 9
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目…
  • 10
    ニューヨークで「レジオネラ症」の感染が拡大...症状…
  • 1
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 2
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 3
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜つくられる
  • 4
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
  • 5
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 6
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 7
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから…
  • 8
    中国が強行する「人類史上最大」ダム建設...生態系や…
  • 9
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目…
  • 10
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 3
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 4
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの…
  • 5
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 6
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜…
  • 7
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 8
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 9
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 10
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中