コラム

「乳児はへその緒を割れた石で切られ」 戦争から逃れても、気候災害でさらなる絶望へ...難民の悲惨な現実

2024年11月22日(金)17時17分

その大半は避難民を受け入れている国々だ。猛暑の日も著しく増加し、50年までにほとんどの難民居住地やキャンプで猛暑に見舞われる日数が2倍になるという。強制的に避難させられた人々の半数近くが紛争と気候変動の悪影響の両方の重荷を背負っている。

戦争に追われた難民を気候災害がさらに追い詰める

グレース・デュロングさん(筆者撮影)

南スーダンの紛争から逃れたグレース・デュロングさんは幼少期の大半を有刺鉄線に囲まれたカクマ難民キャンプ(ケニア北部)で過ごした。プラスチックのシェルター、トイレにはひどいにおいが充満していた。「祖国の戦争で両親からも周囲からも先祖からも引き離されました」

へその緒を割れた石で切られる乳幼児たち

故郷での居場所を奪われた後、グレースさんは何度も過酷な洗礼を受けた。干ばつに見舞われ、カクマにたどり着くまで酷暑に襲われた。「カクマは私に家を与えてくれると思いましたが、結局は私が受けた教育以外はすべて一時的なものに過ぎませんでした」

住み家を追われ、唇やつま先が乾いてひび割れた。あきらめるか、希望を持ち続けるかの選択を迫られた。「私はよくフライパンから火に移ったと言います。難民には逃げ場がありません。ある方向に逃げればある危険に遭遇し、別の方向に逃げればまた別の危険に遭遇するのです」

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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