コラム

服装、背景、左手のブレスレット...チャールズ英国王、初の肖像画に隠されたメッセージ

2023年04月11日(火)17時11分

国王が人々と接する時の繊細さと共感

肖像画にはバーフォード氏自身の国王に対する幻想が描かれている。「レセプションで国王を観察していた時、印象的だったのは、彼が人々と接する時の繊細さと共感でした。私はそれを伝えたいと思いました。バッキンガム宮殿に行き、レセプションを見学することで、自分が国王に共感できるようになるとは思ってもいませんでした」

「私が絵を描く時に求めているのは繊細さと共感です。できる限り繊細で共感的な肖像画を描こうと思っています。それは彼と出席者のやり取りを観察していると伝わってきました。撮影した多くの写真やさまざまな報道写真を調べている時、特に母親の葬儀での彼の写真を見ていると涙が出そうになることがありました。それを絵の中で伝えたいと思ったのです」

バーフォード氏は600枚ぐらい写真を撮って家に帰り、心に残った印象と、写真をひっくり返して2週間で肖像画を描きあげた。難しかったのは時間的な制約より、自分が描いている作品と一定の距離を置くことができなかったことだ。作品から離れることで自分の作品について考える間ができる。その時間がいかに重要であるかに気づかされたという。

「その2週間は絵を描いていないと罪の意識を感じていました。技術的な問題もいくつかありました。油絵には乾かす時間が必要ですが、最終的には何とかなりました。私が感じたのは国王の温かさ、思いやり、共感だったのです。彼は、人々が自分に何を伝えようとしているのか、本当に耳を傾け、気にかけているように見えました」とバーフォード氏は話した。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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