イラン核計画「中核部分は破壊されず」、米情報機関が分析=関係筋

米軍が実施したイランの核施設に対する攻撃について、米情報機関の初期的な分析で、イランの核開発計画の中核部分は破壊されず、計画を数カ月遅らせる程度にとどまった可能性が高いことが分かった。米国による攻撃前のフォルドゥ地下複合施設の上空を撮影した衛星画像。20日撮影(2025年 ロイター/MAXAR TECHNOLOGIES/Handout via REUTERS)
[ワシントン 24日 ロイター] - 米軍が実施したイランの核施設に対する攻撃について、米情報機関の初期的な分析で、イランの核開発計画の中核部分は破壊されず、計画を数カ月遅らせる程度にとどまった可能性が高いことが分かった。事情に詳しい3人の関係筋がロイターに語った。
初期の報告書は国防総省の主要情報機関である国防情報局(DIA)がまとめた。DIAは米国内18の情報機関の一つ。イランは数カ月で核開発計画を再開できる可能性があり、関係筋の1人は最短で1─2カ月以内と見込んでいる。
この機密扱いの評価は、地中貫通弾(バンカーバスター)と通常兵器を併用した週末の攻撃によってイランの核開発計画が実質的に消滅したとするトランプ大統領やヘグセス国防長官ら米高官の発言と食い違っている。トランプ氏は21日、米軍がナタンズ、イスファハン、フォルドゥの3カ所にあるイランの核施設を攻撃し、「大成功」だったと表明した。
トランプ政権は24日、国連安全保障理事会に対し、イランの核施設に対する週末の攻撃は同国の核開発計画を「弱体化」させたと報告し、消滅したというトランプ氏のこれまでの主張から語気を弱めた。
コメントを求められたホワイトハウスは、この評価を最初に報じたCNNに対しレビット報道官が出した声明に言及した。レビット氏はその中で、「こうした分析は完全な間違いだ」と指摘。「重量3万ポンドの爆弾14発を標的に完璧に投下したらどうなるか誰もが知っている」と述べた。
報告書に目を通した米政府関係者は、評価には多くの注意書きや「仮定」が含まれていると指摘し、今後数日から数週間のうちに、より詳細な報告書がまとめられるとの見方を示した。
またアナリストは、評価が衛星画像に基づいている場合、地中深くにあるフォルドゥのウラン濃縮施設がどの程度の被害を受けたかは必ずしも明らかになるわけではないと指摘する。
核施設3カ所の被害状況を評価するのは困難な作業になる見通しで、この任務を負っている機関はDIAだけではない。関係筋によると、この評価は広く受け入れられておらず、大きな意見の相違が生じているという。
<与えた被害軽微との見方にヘグセス氏反発>
国防総省は、DIAの評価が存在することを否定しなかったものの、与えた被害が軽微だったとの見方には異議を唱えた。
ヘグセス国防長官はロイターに宛てた声明で「われわれが見てきた全て、そして私が見てきた全てに基づくと、われわれの爆撃作戦はイランの核兵器製造能力を消滅させた」と主張。「われわれの大規模な爆弾は各ターゲットに的確に命中し、完璧に機能した。爆弾の効果はイランのがれきの山の下に埋もれている。だから、爆弾が壊滅的でなかったと言う人は大統領と成功した任務をおとしめようとしているだけだ」とした。
元国連核査察官で現在は科学国際安全保障研究所の所長を務めるデビッド・オルブライト氏は、攻撃後の商業衛星画像を基に、米国の攻撃はイランのウラン濃縮プログラムをとりあえず効果的に破壊したが、より長期的な脅威を排除することはできなかったとの見方を示した。Xに「イランは兵器級ウランを生産する能力を保持している」と投稿した。