ニュース速報
ワールド

トランプ氏の関税警告、ロシアの一部で反発強まる

2025年01月24日(金)13時11分

 ロシアがウクライナ戦争終結に合意しない場合、関税や制裁を課すとするトランプ米大統領(写真)の発言について、ロシアの一部の政治家や国粋主義者から「無礼」「侮辱的」「情報不足」であり、逆効果だとの批判が出ている。写真は米ホワイトハウスで21日撮影(2025年 ロイター/Carlos Barria)

Andrew Osborn

[23日 ロイター] - ロシアがウクライナ戦争終結に合意しない場合、関税や制裁を課すとするトランプ米大統領の発言について、ロシアの一部の政治家や国粋主義者から「無礼」「侮辱的」「情報不足」であり、逆効果だとの批判が出ている。

トランプ氏は22日、ロシアがウクライナ戦争終結に合意しない場合、ロシアと「他の参加国」に高水準の税金や関税、制裁を課すと警告。その一方で、第2次世界大戦でロシアが米国を支援してくれたことを忘れてはならないとした上で、ソ連では第2次大戦で6000万人が死亡したと事実と異なる指摘をした。ロシア当局は死者が2660万人だったと推定している。

ロシアのペスコフ大統領報道官は23日、トランプ氏の発言について、特に目新しさはないとし「全てのニュアンスをつぶさに記録している。われわれには引き続き対話の用意があり、プーチン大統領はそれを繰り返し言っている。対等な対話、互いを尊重し合う対話だ」とコメントした。

ただ、ロシアの一部の政治家や国粋主義者は、トランプ氏の高圧的な態度が和平合意を阻害する可能性が高いと指摘している。

ロシア上院のコサチョフ副議長は、トランプ氏がウクライナ側に何も要求していないと批判。

「ウクライナ危機の原因、現状、解決の見通しに対する彼の理解度が、第2次世界大戦の経過と結果に対する理解度とほぼ同じレベルであることが確認された」とし「最低限の水準に達しておらず、遺憾であり、懸念している」と述べた。

国内に多数のフォロワーがいる戦争ブロガーもトランプ氏の発言に反発。戦争ブロガーのボエンコル・コトノク氏は「(トランプ氏の発言は)侮辱的で、傲慢で、自己満足だ」と非難した。

戦争特派員のアレクサンダー・コッツ氏も、中東の停戦合意でトランプ氏が誤った自信を持ってしまったのではないかとし「ロシアはガザ地区ではない。最後通告で対話を始めるのは、調停役を名乗る指導者としては、あまり先見の明のある行動ではない。ロシアは脅迫や脅しによる取引には決して応じないだろう」と述べた。

元大統領顧問のセルゲイ・マルコフ氏も、トランプ氏のこれまでの行動を踏まえると、ウクライナに和平をもたらすことはできないだろうと分析。国営メディアの著名司会者、ウラジーミル・ソロビヨフ氏も、今回の脅迫はトランプ氏が敵であることを証明していると語った。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

GMメキシコ工場で生産を数週間停止、人気のピックア

ビジネス

米財政収支、6月は270億ドルの黒字 関税収入は過

ワールド

ロシア外相が北朝鮮訪問、13日に外相会談

ビジネス

アングル:スイスの高級腕時計店も苦境、トランプ関税
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「裏庭」で叶えた両親、「圧巻の出来栄え」にSNSでは称賛の声
  • 2
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に...「曾祖母エリザベス女王の生き写し」
  • 3
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 4
    アメリカを「好きな国・嫌いな国」ランキング...日本…
  • 5
    セーターから自動車まで「すべての業界」に影響? 日…
  • 6
    トランプはプーチンを見限った?――ウクライナに一転パ…
  • 7
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、…
  • 8
    『イカゲーム』の次はコレ...「デスゲーム」好き必見…
  • 9
    【クイズ】日本から密輸?...鎮痛剤「フェンタニル」…
  • 10
    日本人は本当に「無宗教」なのか?...「灯台下暗し」…
  • 1
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 2
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...APB「乗っ取り」騒動、日本に欠けていたものは?
  • 3
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に...「曾祖母エリザベス女王の生き写し」
  • 4
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 5
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 6
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 7
    アリ駆除用の「毒餌」に、アリが意外な方法で「反抗…
  • 8
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 9
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 10
    孫正義「最後の賭け」──5000億ドルAI投資に託す復活…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中