ニュース速報

ワールド

米下院、トランプ大統領の弾劾訴追決議案を可決 上院で裁判へ

2021年01月14日(木)10時21分

 米下院は1月13日、トランプ大統領の支持者が連邦議会議事堂に乱入した事件を巡り、反乱を扇動したとして大統領を弾劾訴追する決議案を採決し、232対197の賛成多数で可決した(2021年 ロイター/JONATHAN ERNST)

[ワシントン 13日 ロイター] - 米下院は13日、トランプ大統領の支持者が連邦議会議事堂に乱入した事件を巡り、反乱を扇動したとして大統領を弾劾訴追する決議案を採決し、232対197の賛成多数で可決した。

共和党からは10人が賛成票を投じた。今後、上院で弾劾裁判が開かれることになる。

トランプ氏は2回の弾劾訴追を受けた史上初の米大統領となった。

ただし、トランプ大統領の4年の任期が終わりバイデン氏が大統領に就任する1月20日までに、トランプ氏の罷免が実現する公算は小さいとみられている。

上院共和党トップのマコネル院内総務は、弾劾裁判の即時開始を求める民主党に対して、トランプ氏の退任までに裁判を終える時間はないとして、要求を拒絶した。

下院の弾劾訴追決議案可決後、トランプ大統領はツイッターに動画を投稿したが、弾劾訴追に関しては言及しなかった。動画では、自身の支持者らが連邦議会議事堂に乱入した事件を巡って、依然として責任は認めなかったが、暴力行為を非難すると強調した。

トランプ氏は「集団での暴力行為は、私が信じるものすべてに反する。私の本当の支持者は、政治的暴力を是認しない。本当の支持者は法と秩序を無視しない」とした。

この日の下院での採決は、ライフルで武装した州兵が議事堂の内外を警備する物々しい雰囲気の中で行われた。

民主党のペロシ下院議長は採決に先立ち「米国の大統領が今回の暴動をあおった」と断じ、トランプ氏は「去らねばならない。われわれ皆が愛する国に対する明白かつ現実の脅威だ」と訴えた。

ペロシ議長は可決後、弾劾条項に署名。「悲しい気持ち(で署名した)。わが国への影響を考えると、胸が張り裂けるようだ」とコメントした。

民主党の大統領候補指名を目指したこともあるフリアン・カストロ議員は、トランプ氏は「歴代の米大統領の中で最も危険な人物」と強調。マキシン・ウォーターズ議員は、トランプ氏は内乱を望んでいると非難、ジム・マクガバン議員は大統領が「クーデターの試みを扇動した」とした。

これまでに弾劾訴追を受けた米大統領は、トランプ氏(2019年)、ビル・クリントン氏(1998年)、アンドルー・ジョンソン氏(1868年)の3人。いずれも、上院の裁判では「無罪」と認定され、罷免は免れている。

<トランプ氏弾劾訴追、共和党から批判の声も>

共和党からは、公聴会など通常の手続きを経ず弾劾訴追を急いだ民主党の手法を疑問視する声も上がり、一部の共和党議員は、国の結束と融和を優先して大統領罷免への動きを断念するよう民主党に求めた。

下院共和党トップのマッカーシー院内総務は、議事堂乱入事件の責任はトランプ大統領にあるとしつつも、「これほど短い期間で大統領を弾劾訴追するのは誤り」との考えを示した。

ジム・ジョーダン氏など、トランプ大統領への忠誠心が厚いとされる議員らは、政治的な利益のために行動していると民主党を強く批判。ジョーダン議員は「大統領を追い落としたいだけ」などとした。

<上院の弾劾裁判、開始は来週以降か>

米憲法の規定によると、下院で弾劾訴追決議案が可決されると、上院で弾劾裁判が開かれる。トランプ氏を「有罪」とし罷免するには、3分の2以上の賛成が必要で、共和党から少なくとも17人が賛成に回る必要がある。

上院共和党トップのマコネル院内総務は、下院の弾劾訴追決議案可決後に声明を発表し、上院の弾劾裁判開始は来週以降になるとした。

マコネル氏は声明で「上院での手続きが今週始まり、急いだとしても、トランプ大統領の退任までに評決は出せない」と述べた。

マコネル氏は、バイデン氏の大統領就任前に「公正な裁判」を終えることはできないとし「上院はこれまで、3回の大統領弾劾裁判を開いたが、それぞれ83日、37日、21日を要した」と指摘した。

一方、民主上院トップのシューマー院内総務は、トランプ氏が上院の裁判で「有罪」となれば、上院はトランプ氏の大統領選再出馬を禁じる決議案について採決を実施すると語った。

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

高市氏「ベネズエラの民主主義回復に努力」、米攻撃支

ワールド

サウジ、イエメン南部問題で対話呼びかけ 分離派が歓

ワールド

焦点:ベネズエラ介入でMAGA逸脱、トランプ氏は「

ビジネス

追加利下げは「まだ先」の可能性=米フィラデルフィア
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...強さを解放する鍵は「緊張」にあった
  • 2
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙」は抑止かそれとも無能?
  • 3
    アメリカ、中国に台湾圧力停止を求める
  • 4
    2026年の節目に問う 「めぐみの母がうらやましい」── …
  • 5
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 6
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 7
    「断食」が細胞を救う...ファスティングの最大効果と…
  • 8
    松本清張はなぜ「昭和の国民作家」に上り詰めたのか…
  • 9
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 10
    感じのいい人が「寒いですね」にチョイ足ししている…
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめる「腸を守る」3つの習慣とは?
  • 3
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチン、その先は袋小路か
  • 4
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 5
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙…
  • 6
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 7
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...…
  • 8
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 9
    【銘柄】子会社が起訴された東京エレクトロン...それ…
  • 10
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中