ニュース速報

ワールド

ブラジル中銀が25bp利下げ、追加緩和余地「わずか」

2020年08月06日(木)09時11分

 8月5日、ブラジル中央銀行(写真)は、市場の予想通り、政策金利を25ベーシスポイント引き下げ、過去最低の2.00%とした。ブラジリアで昨年10月撮影(2020年 ロイター/Adriano Machado)

[ブラジリア 5日 ロイター] - ブラジル中央銀行は5日、市場の予想通り、政策金利を25ベーシスポイント(bp)引き下げ、過去最低の2.00%とした。その上で、追加緩和の余地はほとんどないか、全くないとした。

今回の利下げは、新型コロナウイルス感染拡大で打撃を受ける経済への対応策としては最も小幅なものとなった。政策当局者らはここ数週間、追加緩和は金融市場の不安定化につながりかねないとの見解を示してきた。

当局者らは今回の会合でも同様の懸念を示したが、追加緩和の可能性を完全には排除せず、景気回復を巡る不透明感が極めて強いことを浮き彫りにした。

金融政策委員会(COPOM)は「金融政策の緩和余地は、あるとしてもわずかだ」と指摘。今後の追加利下げはより穏健的なアプローチを伴い、インフレや公的支出の見通しに左右されるとした。

決定は全会一致だった。ロイター調査ではエコノミスト41人中35人が利下げを、6人が据え置きを予想していた。

政策当局者らは、最近の経済指標は「部分的な回復」を示しているとした上で、見通しは依然不透明で、緊急財政支援の縮小に伴い「特に今年末から」の不透明感は高いとした。

ドイツ銀行(ニューヨーク)の新興国市場調査部門責任者、ドラウジオ・ジャコメリ氏は「金融の安定性を巡るリスクを踏まえると、この水準では追加緩和の利点はほとんどないが、中銀は予想よりも、ややハト派的だった」と述べた。

「中銀は回復が緩やかになることやインフレリスクがかなり抑制されていることを認めている。政策正常化への圧力はなく、長期にわたり金利は据え置かれると予想する」とした。

ブラジルの経済成長率は今年、過去最大のマイナスを記録する見通しで、政府はマイナス4.7%、国際通貨基金(IMF)はマイナス9.1%を見込む。

中銀のカンポス・ネト総裁は、中銀予想のマイナス6.4%が悲観的過ぎるとの見解をこれまでに示している。

COPOMは今回、市場に基づく金利予想と1ドル=5.20レアルの想定為替相場を用いた「ハイブリッド」予想モデルで、今年のインフレ率は約1.9%、来年は3.0%になるとの見通しを示した。

6月には市場に基づく金利予想と1ドル=4.95レアルの為替相場を用いて、今年のインフレ率は約2.0%、来年は3.2%になる見込みとしていた。

中銀のインフレ目標は今年が4.00%、来年が3.75%。中銀は2022年にインフレ率が目標に近付くとみている。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

プーチン氏のウクライナ占領目標は不変、米情報機関が

ビジネス

マスク氏資産、初の7000億ドル超え 巨額報酬認め

ワールド

米、3カ国高官会談を提案 ゼレンスキー氏「成果あれ

ワールド

ベネズエラ沖で2隻目の石油タンカー拿捕、米が全面封
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦い」...ドラマ化に漕ぎ着けるための「2つの秘策」とは?
  • 2
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 3
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリーズが直面した「思いがけない批判」とは?
  • 4
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 5
    「何度でも見ちゃう...」ビリー・アイリッシュ、自身…
  • 6
    70%の大学生が「孤独」、問題は高齢者より深刻...物…
  • 7
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 8
    中国最強空母「福建」の台湾海峡通過は、第一列島線…
  • 9
    ロシア、北朝鮮兵への報酬「不払い」疑惑...金正恩が…
  • 10
    ウクライナ軍ドローン、クリミアのロシア空軍基地に…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 9
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 10
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 8
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中