ニュース速報

ワールド

EU首脳、英与党の勝利歓迎 将来関係巡る協議は複雑かつ困難

2019年12月14日(土)03時48分

12月13日、欧州連合(EU)首脳は、英国のEU離脱につながり得る英総選挙での与党・保守党の勝利を歓迎する一方、新たな英EU間の関係を巡る協議は非常に困難なものになるとの見方を示した。写真は同日、ブリュッセルで記者会見するミシェルEU大統領(2019年 ロイター/Yves Herman)

[ブリュッセル 13日 ロイター] - 欧州連合(EU)首脳は、英国のEU離脱につながり得る英総選挙での与党・保守党の勝利を歓迎する一方、新たな英EU間の関係を巡る協議は非常に困難なものになるとの見方を示した。

12日投開票の英総選挙では、ジョンソン首相率いる保守党が単独過半数議席を獲得し地滑り的勝利を収めた。ジョンソン首相は13日、保守党政府は英EU離脱の完遂を付託されたと勝利宣言、来年1月31日にEUを離脱するとあらためて表明した。[nL4N28N1TP]

英国を除くEU加盟27カ国首脳は13日、来年12月までの移行期間中に将来的な英EU関係を巡る協議を開始できるよう新たな英議会による離脱合意の迅速な批准を求めた。

ドイツのメルケル首相は首脳会議後の記者会見で「協議は非常に複雑になるだろう。協議内容は通商面や漁業、安全保障および外交政策での連携など多岐にわたる」と指摘。「最大のハードルはこれらの問題を非常に迅速に解決する必要があることだ。来年末までに完了しなければならない。6月には移行期間の延長の是非に関する判断を行う必要があるが、英国は延長を望んでいない」と述べた。

ミシェルEU大統領は、加盟27カ国が英国のEU離脱後に英国との「非常に強力な戦略的関係」を望んでいると表明。ただ、EUが英国との新たな通商合意において公平な競争を保証する条項を求めていることに言及し、「EUにはEUの利益を守り、促進する用意がある。平等な競争条件は非常に重要な目標だ」と語った。

加盟27カ国の共同声明では、英国との将来的な関係は「権利と義務の均衡および平等な競争条件の確保」に基づく必要があるとした。

フランスのマクロン大統領は、英国がEU離脱後に経済を巡る規制緩和を求めれば求めるほど、EUの単一市場へのアクセスが失われると強調。「気候や環境、経済、社会における規制で大きな違いがある欧州の単一市場と強力な関係が築けるとは考えづらい」と述べた。

欧州委員会のフォンデアライエン委員長は「短い時間を最大限活用する用意がある。英国は第三国となるが、最終的には前例のないパートナーシップを締結するだろう」と語った。

ロイター
Copyright (C) 2019 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

金総書記、プーチン氏に新年メッセージ 朝ロ同盟を称

ワールド

タイとカンボジアが停戦で合意、72時間 紛争再燃に

ワールド

アングル:求人詐欺で戦場へ、ロシアの戦争に駆り出さ

ワールド

ロシアがキーウを大規模攻撃=ウクライナ当局
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指すのは、真田広之とは「別の道」【独占インタビュー】
  • 3
    【世界を変える「透視」技術】数学の天才が開発...癌や電池の検査、石油探索、セキュリティゲートなど応用範囲は広大
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 6
    中国、米艦攻撃ミサイル能力を強化 米本土と日本が…
  • 7
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 8
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 9
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 10
    【クイズ】世界で最も1人当たりの「ワイン消費量」が…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指すのは、真田広之とは「別の道」【独占インタビュー】
  • 4
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 5
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中