ニュース速報

ワールド

香港抗議デモ続く、外出禁止令の憶測も 習中国主席は暴力停止を重視

2019年11月15日(金)03時58分

 11月14日、香港では反政府デモが続いている。学校は休校、高速道路は封鎖されており、一部の交通機関は運休している。写真は大学に設けられた手製のゲートのそばで警察の様子を伺うデモ参加者。香港で撮影(2019年 ロイター/Tyrone Siu)

[香港 14日 ロイター] - 香港では14日も反政府デモが続き、学校が休校となるほか、高速道路が封鎖され、交通機関が一部運休するなど、市民生活に深刻な影響を及ぼしている。

こうした中、頭部にブロックが当たったとみられる70歳の街路清掃員が死亡したと病院が明らかにした。警察側は、マスクをしたデモ参加者が投げつけた物体が当たったようだと説明した。

中国国営テレビの中国中央電視台(CCTV)によると、ブラジルを訪問中の習近平国家主席は香港情勢について、暴力の停止が最も緊急の課題だと語った。

習主席は香港の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官を引き続き強く支持し、法に基づく政策を実行して暴徒を罰すると表明。また、国外からの香港情勢への干渉には反対し、「一国二制度」の原則は揺るがないとも述べた。

一方、中国共産党機関紙・人民日報傘下の有力国際情報紙である環球時報がツイッターに、香港政府が週末の夜間外出禁止令を発令する見込みと投稿したものの、その後すぐに投稿を削除するという騒ぎもあった。

ツイートは匿名の関係筋の話を基にしたもので、詳細については触れていなかったが、インターネット上ではこうした内容のうわさが広がっている。

環球時報の胡錫進編集長は、ツイートを削除したのは「十分な裏付け情報がなかったため」と説明。「情報の入手経路を調べたが、情報が、この特ダネニュースを裏付けるには不十分と結論付け、ツイートの削除を要請した」と投稿した。

香港政府のコメントは得られていない。

香港理工大学の学生はロイターに「夜間外出禁止令が出されてほしくないが、いずれ出されると考えている」と述べ、11月に予定されている区議会(地方議会)選挙の延期と併せて発表されるとの見方を示した。

香港ではここ1週間、車両や建物が放火されたり、警察署や列車に火炎瓶が投げ込まれる事件が発生。高級ショッピングモールに対する破壊活動も行われている。

デモ隊は主要道路を引き続き封鎖しており、14日早くには入口が封鎖されている香港海底トンネル付近で、警官が催涙ガスを発射した。

複数の大学ではキャンパス内に多くの学生が立てこもっており、食料・レンガ・火炎瓶などを準備して、警官隊との衝突に備えている。

一部の大学前には14日早く、機動隊が配備された。

一部の鉄道路線は運休となっており、複数の地下鉄駅では通勤客の長い列ができた。駅のプラットフォームに配備された機動隊に罵声を浴びせる通勤客の姿も見られた。

14日には、ビジネス街などでさらなる抗議活動が予定されている。

香港警察は13日、抗議デモが「非常に危険で、致命的なレベルにさえ」達したと表明。当局の発表によると、13日の衝突では64人が負傷、2人が重体となっている。

警察は男性1人が13日に転落死したと発表したが、詳細は明らかにしていない。

メディア報道によると、林鄭長官は13日遅く、政府高官と会談。新たな緊急対応策が導入されるのではないかとの観測が浮上している。

交通渋滞に巻き込まれた24歳の会社員は「政府と警察が暴力行為をエスカレートさせている。暴力行為を止めたいなら、政府は我々の要求に耳を傾けるべきだ」と述べた。

香港教育局は、交通機関の混乱を理由に、14日に続き15─17日も全校が休校になると発表した。同局は学生に対し、暴力行為に関与しないよう呼び掛けた。

一部の大学は年内は授業を行わないと発表。一部のショッピングモールも14日は休業する方針だ。

林鄭長官は今週、混乱を引き起こしているデモ隊は「身勝手」で、市民の敵だと非難。

これまで、抗議デモは通常、週末に行われていたが、今週は平日も抗議活動が行われており、混乱が拡大している。

地下鉄を運営する香港鉄路(MTR)<0066.HK>によると、施設の損傷により、一部の鉄道・バス路線で運休が続いているほか、一部の駅も閉鎖されている。終電時刻は全線で通常より2時間以上早い午後10時に繰り上げられている。

輸送機関の混乱は香港経済を一段と悪化させる要因になっている。小売りや観光が打撃を受けており、香港は第3・四半期に10年ぶりとなるリセッション(景気後退)に陥った。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2019 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

プーチン氏、一部の米提案は受け入れ 協議継続意向=

ワールド

韓国検察、尹前大統領の妻に懲役15年求刑

ビジネス

英サービスPMI、11月は51.3に低下 予算案控

ワールド

アングル:内戦下のスーダンで相次ぐ病院襲撃、生き延
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇気」
  • 2
    大気質指数200超え!テヘランのスモッグは「殺人レベル」、最悪の環境危機の原因とは?
  • 3
    トランプ支持率がさらに低迷、保守地盤でも民主党が猛追
  • 4
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与…
  • 5
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 6
    コンセントが足りない!...パナソニックが「四隅配置…
  • 7
    若者から中高年まで ── 韓国を襲う「自殺の連鎖」が止…
  • 8
    【クイズ】日本で2番目に「ホタテの漁獲量」が多い県…
  • 9
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 10
    海底ケーブルを守れ──NATOが導入する新型水中ドロー…
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 3
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 4
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 5
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 8
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 9
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 10
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 4
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中