ニュース速報

ワールド

デジタル通貨、リスク対応導入まで認めるべきでない=G7作業部会

2019年10月18日(金)10時42分

 10月17日、主要7カ国(G7)の作業部会は、フェイスブック<が主導するデジタル通貨「リブラ」を含む「ステーブルコイン」について、リスクへの対応が図られるまでは導入を認めるべきではないとの見解を示した。写真は6月に撮影(2019年 ロイター/Dado Ruvic)

[ロンドン/ワシントン 17日 ロイター] - 主要7カ国(G7)の作業部会は17日、フェイスブックが主導するデジタル通貨「リブラ」を含む「ステーブルコイン」について、リスクへの対応が図られるまでは導入を認めるべきではないとの見解を示した。法定通貨と交換可能なリブラなどのデジタル通貨がもたらすリスクに警鐘を鳴らしたかたちだ。

ワシントンで18日から開かれる国際通貨基金(IMF)・世銀年次総会を前に、作業部会は報告書をまとめ、ステーブルコインが大々的に導入された場合、国際通貨システムや金融安定を脅かす可能性があると指摘した。

マネーロンダリング(資金洗浄)やテロ資金の取り締まりに向けた国際的な取り組みを阻害し、サイバーセキュリティーや税制、プライバシーに関する問題を生じさせる可能性があるとも警告した。

法律や規制、監督上の課題やリスクへの対応が図られるまでは「国際的なステーブルコインのプロジェクトは始動すべきではない」とG7の見解を示した。

リブラを運営する「リブラ協会」は報告書を受け、リブラは通貨政策に関する国家の主権やマネロンなど違法な資金の流れに対する規制を尊重するよう設計されていると主張。デジタルの世界に関して既存の規制機関が講じている保護措置を阻害することはないとした。

G7の報告書は、ステーブルコインには資金決済やマネロン対策に関する既存の規則や資本市場と銀行に関する現行の基準を適用すべきだと主張。

また、新たなルールも必要になるかもしれないとし、金融安定理事会(FSB)が規制上の問題について検証し、来年4月に20カ国・地域(G20)に報告するとした。

フェイスブックはリブラについて、国際決済システムの非効率性を解消する狙いがあると説明している。国際決済システムは手数料が高く、送金に長い時間を要し、信頼性が欠如しているなどの問題があり、発展途上国を中心に人々が海外に送金するのを阻む要因となっている。

G7作業部会は、中銀や財務省などの当局は決済システムのこれらの脆弱性に対処する必要があると指摘。銀行のサービスが現在使えない人々が使えるようにするため、公的部門は取り組みを強化すべきだと訴えた。

ロイター
Copyright (C) 2019 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国CPI・PPI、9月はともに下落 需要低迷でデ

ワールド

ロシア、法改正で訓練済み予備役200万人のウクライ

ワールド

カナダ、対印関係で国内の治安重視 外相表明

ワールド

アサド政権時代、集団墓地から秘密裏に遺体移送 犯罪
MAGAZINE
特集:日本人と参政党
特集:日本人と参政党
2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道されない、被害の状況と実態
  • 2
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ海で「中国J-16」 vs 「ステルス機」
  • 3
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 4
    「心の知能指数(EQ)」とは何か...「EQが高い人」に…
  • 5
    【クイズ】アメリカで最も「死亡者」が多く、「給与…
  • 6
    「欧州最大の企業」がデンマークで生まれたワケ...奇…
  • 7
    イーロン・マスク、新構想「Macrohard」でマイクロソ…
  • 8
    「中国に待ち伏せされた!」レアアース規制にトラン…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「中国のビットコイン女王」が英国で有罪...押収され…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな飼い主との「イケイケなダンス」姿に涙と感動の声
  • 3
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 4
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 5
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 6
    ベゾス妻 vs C・ロナウド婚約者、バチバチ「指輪対決…
  • 7
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 8
    ウクライナの英雄、ロシアの難敵──アゾフ旅団はなぜ…
  • 9
    「中国のビットコイン女王」が英国で有罪...押収され…
  • 10
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中