ニュース速報
ビジネス

中国11月製造業PMI、2カ月連続で50上回る 景気対策の効果で

2024年11月30日(土)14時46分

 中国国家統計局が30日発表した11月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は50.3と7カ月ぶりの高水準だった。写真は深センの工場の生産ライン。2019年8月撮影(2024年 ロイター/Jason Lee)

[北京 30日 ロイター] - 中国国家統計局が30日発表した11月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は50.3と7カ月ぶりの高水準だった。10月の50.1から上昇し、ロイター調査の予想中央値の50.2も上回った。

一連の景気刺激策が効果を上げつつあることを示唆する新たな統計となった。

中国の製造業は生産者物価の下落と受注減により過去数カ月間低迷していたが、PMIが景況拡大と縮小の分かれ目となる50を2カ月連続で上回ったことは景気刺激策によるセンチメント改善を示唆している。

ただ、米国の追加関税が来年新たな逆風となり、製造業に対する楽観論に水を差す可能性がある。

中国国内では一連の景気刺激策が低迷する不動産市場を支援している兆候もみられるが、当局はトランプ氏の米大統領復帰を前に対策に追われている。

トランプ氏は25日、中国製品に対する10%の追加関税を表明した。選挙活動中には中国製品に60%の追加関税を導入する考えを示してきた。

11月の新規受注指数は7カ月ぶりに改善、新規輸出指数は7カ月連続で縮小した。

ピンポイント・アセット・マネジメントのプレジデント兼チーフエコノミスト、Zhang Zhiwei氏は「9月下旬に財政・金融政策が緩和され、経済は最近安定している。しかし2025年の見通しは依然として不透明だ」と述べた。

また同氏は「貿易戦争が迫っており、企業の投資決定が遅れると予想される。投資家は財政刺激策を期待しているが、支出の規模や構成は不透明だ」と語った。

同氏はさらに、12月に開催される中央経済工作会議で政策の見通しが明らかになるかもしれないと付け加えた。

<需要は低迷>

中国物流情報センターのアナリスト、Zhang Liqun氏は「11月のPMIでは景気底入れの兆候がより明らかになった。政策の効果が強まっている」と述べた。

一方、「需要の低迷は依然として企業の生産活動に対する大きな制約となっており、公共投資の効果的な推進を強化する必要がある」という。

サービス業と建設業を含む非製造業PMIは50.0で、10月の50.2から低下した。サービス部門は2か月連続で緩やかに拡大した。

中国当局は今月、地方財政の逼迫を緩和するため10兆元(1兆3800億ドル)の債務対策を発表した。9月には中国人民銀行がコロナ禍以降最大の景気刺激策を導入し、政府の目標である約5%の経済成長達成を目指している。

また政府の経済顧問は、2025年の経済成長率目標を「5%前後」に維持し、さらなる刺激策を導入するよう提案している。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

日経平均は続伸で寄り付く、個人の買いが支え 主力株

ビジネス

小売販売額11月は前年比1.0%増、医薬・自動車な

ワールド

米、ナイジェリアでイスラム過激派空爆 「キリスト教

ビジネス

鉱工業生産11月は2.6%低下、自動車・リチウム電
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指すのは、真田広之とは「別の道」【独占インタビュー】
  • 4
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 5
    「時代劇を頼む」と言われた...岡田准一が語る、侍た…
  • 6
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 7
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 8
    ノルウェーの海岸で金属探知機が掘り当てた、1200年…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    【銘柄】「Switch 2」好調の任天堂にまさかの暗雲...…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 4
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 5
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 6
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 7
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 10
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 7
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中