ニュース速報
ビジネス

インタビュー:赤字の中国事業「着実に利益を上げる形に」=荻野・大和証G社長

2024年05月28日(火)09時45分

 大和証券グループ本社の荻野明彦社長は赤字が続く中国事業について、投資銀行の競合各社が事業を縮小する中でも黒字転換を目指す考えを示した。5月24日撮影(2024年 ロイター/Miho Uranaka)

Miho Uranaka Anton Bridge

[東京 28日 ロイター] - 大和証券グループ本社の荻野明彦社長は赤字が続く中国事業について、投資銀行の競合各社が事業を縮小する中でも黒字転換を目指す考えを示した。企業の合併・買収(M&A)の仲介などに力を入れる。

4月に就任した荻野社長はロイターとのインタビューで、「今のビジネスベースでしっかりと着実に利益を上げる形に持っていく」と述べた。

経済が低迷する中国では昨年以降、ゴールドマン・サックスやHSBC、モルガン・スタンレーなどが相次ぎ投資銀行部門の人員を削減。野村ホールディングスも人員規模を縮小している。

荻野社長は、中国投資銀行のビジネスは足が長いとし、「今手掛けている案件が市場に出てくるころには、ある程度(市場の)改善に期待できる」と語った。

一方、足元では中国(香港・中国本土)株が復調傾向にあり、景気の底入れ期待も出てきている。新たに中国に参入する動きもみられ、関係者によると、シティグループは年内にも100%出資の投資銀行部門の立ち上げを目指す。3月には中国政府が外国企業を国内企業と同じように扱うことを決めており、外資の参入が進む可能性がある。

大和証券Gは2004年に合弁事業の形で中国に参入したが、主導的に経営を進めることを制限する規制が運営上の壁となり、10年後に撤退。20年末に51%を出資する合弁証券を設立して再参入した。日系では唯一証券業務ライセンスも取得した。ただし、参入から日も浅いこともあり赤字が続いている。

ここ最近は米中関係の悪化を受けて日系企業が中国戦略を見直す中、事業のリストラや撤退に関する助言業務などの需要が盛り上がったが、荻野社長は「特需」と説明。中国事業の主力は新規株式公開(IPO)など投資銀行業務だとし、先週公表した新中期経営計画では、M&A分野でグループの連携を強める考えを示した。

中国の政治リスクについては常に考えているとする一方、「市場そのものがなくなるわけではない」と指摘。「状況を見極め、何かコンティンジェンシー(不測の事態)が起きれば対応せざるを得ないが、ビジネスとしては普通にやっていける」と述べた。

*24日にインタビューしました。

*写真を差し替えて再送します。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:トランプ氏なら強制送還急拡大か、AI技術

ビジネス

アングル:ノンアル市場で「金メダル」、コロナビール

ビジネス

為替に関する既存のコミットメントを再確認=G20で

ビジネス

米国株式市場=上昇、大型ハイテク株に買い戻し 利下
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ暗殺未遂
特集:トランプ暗殺未遂
2024年7月30日号(7/23発売)

前アメリカ大統領をかすめた銃弾が11月の大統領選挙と次の世界秩序に与えた衝撃

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「習慣化の鬼」の朝日新聞記者が独学を続けられる理由【勉強法】
  • 2
    BTS・BLACKPINK不在でK-POPは冬の時代へ? アルバム販売が失速、株価半落の大手事務所も
  • 3
    【夏休み】お金を使わないのに、時間をつぶせる! 子どもの楽しい遊びアイデア5選
  • 4
    キャサリン妃の「目が泳ぐ」...ジル・バイデン大統領…
  • 5
    地球上の点で発生したCO2が、束になり成長して気象に…
  • 6
    カマラ・ハリスがトランプにとって手ごわい敵である5…
  • 7
    トランプ再選で円高は進むか?
  • 8
    拡散中のハリス副大統領「ぎこちないスピーチ映像」…
  • 9
    中国の「オーバーツーリズム」は桁違い...「万里の長…
  • 10
    「轟く爆音」と立ち上る黒煙...ロシア大規模製油所に…
  • 1
    正式指名されたトランプでも...カメラが捉えた妻メラニアにキス「避けられる」瞬間 直前には手を取り合う姿も
  • 2
    すぐ消えると思ってた...「遊び」で子供にタトゥーを入れてしまった母親の後悔 「息子は毎晩お風呂で...」
  • 3
    月に置き去りにされた数千匹の最強生物「クマムシ」、今も生きている可能性
  • 4
    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…
  • 5
    「習慣化の鬼」の朝日新聞記者が独学を続けられる理…
  • 6
    【夏休み】お金を使わないのに、時間をつぶせる! 子…
  • 7
    ブータン国王一家のモンゴル休暇が「私服姿で珍しい…
  • 8
    「失った戦車は3000台超」ロシアの戦車枯渇、旧ソ連…
  • 9
    「宇宙で最もひどい場所」はここ
  • 10
    ウクライナ南部ヘルソン、「ロシア軍陣地」を襲った…
  • 1
    中国を捨てる富裕層が世界一で過去最多、3位はインド、意外な2位は?
  • 2
    ウクライナ南部ヘルソン、「ロシア軍陣地」を襲った猛烈な「森林火災」の炎...逃げ惑う兵士たちの映像
  • 3
    ウクライナ水上ドローン、ロシア国内の「黒海艦隊」基地に突撃...猛烈な「迎撃」受ける緊迫「海戦」映像
  • 4
    ブータン国王一家のモンゴル休暇が「私服姿で珍しい…
  • 5
    正式指名されたトランプでも...カメラが捉えた妻メラ…
  • 6
    韓国が「佐渡の金山」の世界遺産登録に騒がない訳
  • 7
    すぐ消えると思ってた...「遊び」で子供にタトゥーを…
  • 8
    月に置き去りにされた数千匹の最強生物「クマムシ」…
  • 9
    メーガン妃が「王妃」として描かれる...波紋を呼ぶ「…
  • 10
    「どちらが王妃?」...カミラ王妃の妹が「そっくり過…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中