ニュース速報
ビジネス

中国の不動産融資促進策、貸し渋り解消には不十分との声

2024年01月25日(木)19時01分

 1月25日、中国当局が不動産業界を支えるために融資制度の緩和措置を打ち出したことから不動産株が上昇した。広州市で2017年10月撮影(2024年 ロイター/Bobby Yip)

Clare Jim

[香港 25日 ロイター] - 中国当局が不動産業界を支えるために融資制度の緩和措置を打ち出したことから25日に不動産株が上昇した。だが銀行の貸し渋りが解消するとみる向きはほとんどいない。

不動産開発会社は商業不動産を担保にして借り入れた資金を既存の債務の返済に充てることが認められたほか、借り入れ可能額が資産評価額の50%から70%へ引き上げられた。

これを受けて中国のCSI300不動産株指数は一時5.7%超、香港の本土不動産株指数は3.3%それぞれ上昇した。

個別銘柄では広州富力地産が一時17%高、遠洋集団は12%超上昇し、碧桂園(カントリーガーデン) と龍湖集団は4%以上上昇した。

しかし不動産開発業者やアナリストは、当局の要請にももかかわらず銀行は民間開発業者に対する融資に消極的と指摘し、新たな措置の直接的な効果には懐疑的な見方を示した。

UBSのアナリスト、ジョン・ラム氏はメモで「負債を抱える開発業者の流動性リスクを軽減する助けにはなるだろうが、住宅価格と販売、さらに業界全体が回復するには不動産需要が高まる必要がある」と述べた。

また問題を抱えた企業はほとんどの優良商業資産をすで担保に差し出しているとの指摘もある。

債務不履行(デフォルト)に陥ったある開発会社の幹部は、政府が強く圧力をかけない限り銀行は融資しないだろうと語った。

野村はリポートで、中小都市に多く存在する販売済みの未完成住宅が不動産市場回復の最大の障害と分析した。全国でこうした住宅の建設を完了するには3.2兆元が必要としている。

不動産開発業者が住宅を引き渡すために必要な資金を確保するには、商業銀行ではなく中央銀行による資金供給が必要との見方を示した。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米CB消費者信頼感、5月は102.0 インフレ懸念

ワールド

イスラエル戦車、ラファ中心部に初到達 避難区域砲撃

ワールド

香港、国家安全条例で初の逮捕者 扇動の容疑で6人

ワールド

サウジ国王、公務に復帰 肺炎治療後初の閣議出席=報
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:イラン大統領墜落死の衝撃
特集:イラン大統領墜落死の衝撃
2024年6月 4日号(5/28発売)

強硬派・ライシ大統領の突然の死はイスラム神権政治と中東の戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    自爆ドローンが、ロシア兵に「突撃」する瞬間映像をウクライナが公開...シャベルで応戦するも避けきれず

  • 2

    汎用AIが特化型モデルを不要に=サム・アルトマン氏最新インタビュー

  • 3

    プーチンの天然ガス戦略が裏目で売り先が枯渇! 欧州はロシア離れで対中輸出も採算割れと米シンクタンク

  • 4

    中国海軍「ドローン専用空母」が革命的すぎる...ゲー…

  • 5

    「なぜ彼と結婚したか分かるでしょ?」...メーガン妃…

  • 6

    コンテナ船の衝突と橋の崩落から2カ月、米ボルティモ…

  • 7

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発…

  • 8

    TikTokやXでも拡散、テレビ局アカウントも...軍事演…

  • 9

    少子化が深刻化しているのは、もしかしてこれも理由?

  • 10

    メキシコに巨大な「緑の渦」が出現、その正体は?

  • 1

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発」で吹き飛ばされる...ウクライナが動画を公開

  • 2

    自爆ドローンが、ロシア兵に「突撃」する瞬間映像をウクライナが公開...シャベルで応戦するも避けきれず

  • 3

    「なぜ彼と結婚したか分かるでしょ?」...メーガン妃がのろけた「結婚の決め手」とは

  • 4

    ウクライナ悲願のF16がロシアの最新鋭機Su57と対決す…

  • 5

    黒海沿岸、ロシアの大規模製油所から「火柱と黒煙」.…

  • 6

    戦うウクライナという盾がなくなれば第三次大戦は目…

  • 7

    能登群発地震、発生トリガーは大雪? 米MITが解析結…

  • 8

    「天国にいちばん近い島」の暗黒史──なぜニューカレ…

  • 9

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された─…

  • 10

    少子化が深刻化しているのは、もしかしてこれも理由?

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 3

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 4

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 5

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 6

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 7

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 8

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発…

  • 9

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中