ニュース速報

ビジネス

ユーロ圏、信用リスク増大 銀行に過信も=ECB監督委員長

2021年12月07日(火)19時49分

 12月7日、欧州中央銀行(ECB)銀行監督委員会のアンドレア・エンリア委員長は、ユーロ圏の銀行が直面する信用リスクが高まっていると指摘した。ロンドンで2017年9月撮影(2021年 ロイター/Afolabi Sotunde)

[フランクフルト 7日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)銀行監督委員会のアンドレア・エンリア委員長は7日、新型コロナウイルス関連の支援策の失効に伴い、ユーロ圏の銀行が直面する信用リスクが高まっていると指摘した。銀行が利回りを追求する過程でリスクを低く見積もりすぎている可能性があるとの認識も示した。

同委員長は来年の監督上の優先課題をまとめたブログで「将来、資産の質が悪化する可能性が複数の初期の指標で示されている」と指摘。

「新型コロナ流行の影響を相対的に受けやすいセクターの不良債権比率も上昇し始めている」とした上で、「特に宿泊・食品サービス、空輸・旅行関連セクターでそれが顕著だ」と述べた。

同委員長は、資産の劣化が見込まれるにもかかわらず、一部の銀行はすでに貸倒引当金を戻し入れていると指摘。貸出債権が正しく分類されておらず、不良債権が早期に認識されていないことを示しており、懸念すべき傾向だと述べた。

前例のない景気支援策で超低金利と潤沢な流動性が続く中、銀行がリスクを取りすぎている可能性についても警鐘を鳴らした。「それに伴い、市場参加者の過信が次第に明らかになってきている」とし「利回りの追求により、一部の市場セグメントで過大評価が起きており、時に経済ファンダメンタルズとの乖離が見られる」と述べた。

リスク志向の高まりを背景に、投資ファンドやマネーマーケットファンドといった影の銀行セクターに対する銀行のエクスポージャーも増えているとし「過度な利回り追求に伴うリスクを、監督上、今後さらに注視していく」と述べた。

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米国版の半導体の集積拠点、台湾が「協力分野」で構想

ワールド

アフガン北部でM6.3の地震、20人死亡・数百人負

ワールド

米国防長官が板門店訪問、米韓同盟の強さ象徴と韓国国

ビジネス

仏製造業PMI、10月改定48.8 需要低迷続く
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「今年注目の旅行先」、1位は米ビッグスカイ
  • 3
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った「意外な姿」に大きな注目、なぜこんな格好を?
  • 4
    米沿岸に頻出する「海中UFO」──物理法則で説明がつか…
  • 5
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 6
    筋肉はなぜ「伸ばしながら鍛える」のか?...「関節ト…
  • 7
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 8
    「あなたが着ている制服を...」 乗客が客室乗務員に…
  • 9
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 10
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 6
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 7
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 8
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 9
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 10
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中