ニュース速報

ビジネス

野村HD、リスク管理体制を調査、大規模損失の恐れで特別チーム=関係筋

2021年04月08日(木)19時33分

 4月8日 米投資会社アルケゴス・キャピタル・マネジメントとの取引で巨額損失が生じる見込みとなった野村ホールディングス(HD)が、リスク管理体制などの実態把握を進めるため、特別調査チームを立ち上げたことが8日、分かった。4月8日、東京で撮影(2021年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 8日 ロイター] - 米投資会社アルケゴス・キャピタル・マネジメントとの取引で巨額損失が生じる見込みとなった野村ホールディングス(HD)が、リスク管理体制などの実態把握を進めるため、特別調査チームを立ち上げたことが8日、分かった。月内にも調査内容を公表する。複数の関係筋が明らかにした。

野村HDは3月29日、米国の子会社と取引先との間で20億ドル(約2200億円)程度の損失が発生する恐れがあると発表した。野村HDは詳細を明らかにしていないが、関係筋によると、損失はアルケゴスに絡むものだという。

損失の可能性を公表して以降、野村HDは社内で特別調査チームを設置し、リスク管理体制に不備がなかったかどうかや、ポートフォリオの組み方が適切だったかなどを調べている。詳細は、今月27日の通期決算発表時に合わせて公表することを検討しているという。

関係筋の1人は「リスク管理は相当厳しくしてきたつもりだが、今までの基準では対応できなかったというのも事実だ」と述べ、リスク管理体制の強化が今後の焦点になるとの見方を示した。

野村HDはコメントを控えた。

アルケゴスとの取引を巡っては、クレディ・スイスが44億スイスフラン(約5200億円)の損失を見込んでいるほか、国内では三菱UFJ証券ホールディングスが約2.7億ドル(約300億円)の損害額を公表した。

ある日本の金融当局者は、顧客1社で20億ドル規模の損失が表面化したことについて「リスク管理に何か問題があったのではないかと疑うのは当然」と指摘する。

アルケゴス創業者のビル・フアン氏が以前運営していたファンドは、中国株を巡るインサイダー取引で2012年に閉鎖。野村HDはフアン氏との取引を見合わせていたものの、16年頃に関係が再開されたことが、ロイターの取材で明らかになっている。

(梅川崇 編集:久保信博)

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

台湾軍、中国の急襲に迅速対応可能 国防部が議会に報

ワールド

欧州、ウクライナ戦争損害賠償の国際委員会発足へ き

ビジネス

太陽光発電、ペロブスカイトなどの開発・導入を支援=

ビジネス

AI投資ブームは「危険な」段階、ブリッジウォーター
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連疾患に挑む新アプローチ
  • 4
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 5
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 6
    アダルトコンテンツ制作の疑い...英女性がインドネシ…
  • 7
    「なぜ便器に?」62歳の女性が真夜中のトイレで見つ…
  • 8
    「職場での閲覧には注意」一糸まとわぬ姿で鼠蹊部(…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    現役・東大院生! 中国出身の芸人「いぜん」は、なぜ…
  • 1
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 2
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 3
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 4
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 5
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 6
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 9
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中