ニュース速報

ビジネス

ユーロ高長期化で景気回復阻害、インフレも下押し=欧州委報告書

2020年10月02日(金)00時09分

欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会が、ユーロの名目実効相場(NEER)上昇が長期化すればユーロ圏経済の回復が阻害され、欧州中央銀行(ECB)によるインフレ押し上げに向けた取り組みが困難になる恐れがあるとする報告書を取りまとめていたことが分かった。ブリュッセルで2011年12月撮影(2020年 ロイター/YVES HERMAN)

[ブリュッセル 1日 ロイター] - 欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会が、ユーロの名目実効相場(NEER)上昇が長期化すればユーロ圏経済の回復が阻害され、欧州中央銀行(ECB)によるインフレ押し上げに向けた取り組みが困難になる恐れがあるとする報告書を取りまとめていたことが分かった。

報告書は10月5日に開かれるユーロ圏財務相会合の資料として9月16日に作成されたもの。ロイターが入手した報告書によると、欧州委はユーロのNEERが2─8月に約7.5%上昇したと指摘。「景気回復が脆弱な中、ユーロ相場が一段と大きく上昇すれば、ユーロ圏の経済とインフレに対する著しい下方リスクとなる」とした。

その上で、ユーロのNEERが長期的に5%上昇した場合、1年後にユーロ圏の域内総生産(GDP)は0.9─1.1%ポイント、インフレ率は0.5─0.8%ポイント押し下げられるとの試算を示した。

ただ、ユーロ圏財務相会合の準備に関与している当局者は、ユーロ相場の上昇はユーロ加盟国による新型コロナウイルス感染拡大への対応に対する市場の信頼感を反映するもので、ユーロ圏財務相が来週の会合で懸念を表明する公算は小さいとの見方を示した。

欧州委の報告書はこのほか、世界経済の成長見通しが悪化すれば、安全通貨の需要が増すためドルと円が恩恵を受ける一方、通商問題や地政学を巡る緊張の高まりはユーロの重しとなると予想。「米大統領選挙を控え、ユーロ/ドル相場のボラティリティーが高まる可能性がある」との見方も示した。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

インド総合PMI、11月は59.9 製造業鈍化で半

ビジネス

政府、経済対策を閣議決定 高市首相「財政の持続可能

ワールド

ホワイトハウス、女性記者を「子ブタ」と呼んだトラン

ワールド

タイ経済は非常に安定、第4四半期の回復見込む=財務
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ成長株へ転生できたのか
  • 4
    ロシアはすでに戦争準備段階――ポーランド軍トップが…
  • 5
    中国の新空母「福建」の力は如何ほどか? 空母3隻体…
  • 6
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 7
    アメリカの雇用低迷と景気の関係が変化した可能性
  • 8
    幻の古代都市「7つの峡谷の町」...草原の遺跡から見…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    【クイズ】中国からの融資を「最も多く」受けている…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中