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焦点:ネット販売増で複雑化、見えにくい小売各社「真の実力」

2019年12月27日(金)14時21分

12月23日、ネット販売の増加で消費者の行動が大きく変化したため、市場調査会社NPDグループで働くコーエン氏をはじめ、小売業界のアナリストは20年前とはきわめて異なる調査手法を強いられている。写真は11月22日、米ペンシルバニア州のショッピングモールで撮影(2019年 ロイター/Mark Makela)

Melissa Fares

[ニューヨーク 23日 ロイター] - クリスマス商戦の時期に同じ店舗を見て回るのが、マーシャル・コーエン氏の30年来の恒例行事だ。

小売業界のチーフアドバイザーという肩書きを持つコーエン氏は、セール品を物色するわけでもなく、友人や家族のために素敵なプレゼントを探すこともない。オンラインショッピングの波が大きなうねりを伴って小売業界に押し寄せる中、店に足を運ぶ人々の購買動向を探るのが彼の目的だ。

消費者の行動や嗜好が大きく変化したため、市場調査会社NPDグループで働くコーエン氏をはじめ、小売業界のアナリストは、20年前とはきわめて異なる調査手法を強いられている。

「調査の方法論、いや、単なる店舗観察であっても、これまでのやり方を今の世の中で繰り返そうとすれば問題が起きるだろう」と、コーエン氏は言う。来店者数に注目したり、駐車場を利用する車の台数をカウントしたりするだけでは、もはや十分ではない」

コーエン氏ら小売業界のアナリストは、調査手法を改善していく必要がある。彼らの知見は、投資家や小売企業といった顧客が利用し、マーケティングに影響を与え、株価を動かし、投資判断の材料になるからだ。

オンライン上で支出を増やす消費者は米国内で記録的な数に達しており、小売各社がクリスマス商戦と年末年始の値引き競争を激化させているのと相まって、アナリストには新たな発想が求められている。

例えば、単に買い物客に「なぜ何も買わずにこの店舗を離れるのか」と尋ねるだけでなく、クリスマス向けの買い物を7月の「プライム・デー」から始めたかどうかを質問し、オンラインショッピング最大手アマゾン・ドット・コムの影響力を探ろうとしている。「プライム・デー」は、いまや感謝祭の週末「ブラック・フライデー」と並び、小売業界の一大イベントだ。

店舗面積当たりの売上高の計算に代わるのは、小売企業の実店舗やオンラインショップで、インスタグラムで誕生した高級プライベートファッションブランドがいくつ展開されているかというデータである

さらに、単に店から出てくる買い物客がいくつの包みを手にしているかを数えるだけではなく、ミレニアル世代や「Zジェネレーション」といった若い世代がどれくらい店舗を訪れ、商品を購入しているかをカウントするようになっている。

コンシューマー・グロース・パートナーズのクレイグ・ジョンソン氏は、来店者数や平均販売価格、平均客単価といった伝統的な指標も、依然として店舗の状況を知る上で非常に参考になることが多いと話す。

しかし、ネット通販や、オンラインで買って店舗で引き取るといったサービスの増加により、顧客転換率(来店者に占める商品購入者の比率を示す伝統的な指標)の推計が困難になっている可能性があるという。

ショッパートラックのグローバル・リテール・コンサルティング部門シニアディレクター、ブライアン・フィールド氏は、小売企業が発表する来店者数が、実店舗で商品を購入する客のものか、オンラインで注文した商品を受け取りに来た客のものかを判断するのは特に難しいと指摘する。「小売企業がオンラインでの売上と実店舗での売り上げを合わせて発表している、というのとほぼ同義だ」とフィールド氏は言う。

「実際のところ、顧客が商品を購入するまでの道のりが変化したということに尽きる。実店舗であれオンラインであれ、買い物のプロセスはどこからでも始まり、どこででも終る」

<当てにならない手掛り>

「ブラック・フライデー」まで1週間を切ったある日、コアサイト・リサーチで高級品・ファッション部門担当のマネージング・ディレクターを務めるマリー・ドリスコル氏のもとに、百貨店のサックス・フィフス・アベニューからメールが届いた。デザイナーズブランドの財布など、小型革製品セールの告知であることに、ドリスコル氏は注意を引かれた。

プレゼント用に使われることの多いこの種の製品の売れ行きが不振なのだろうか。ドリスコル氏はそう考えた。

だが、サックスはそうした見方を否定する。

「顧客宛てのメールをもとに、商品カテゴリー別の売り上げを推計するのは間違いだ。購買嗜好に基づき、顧客それぞれに合った商品を勧めている」と、サックスの広報担当者は言う。

コンシューマー・グロース・パートナーズのジョンソン氏は最近、ノードストロームを訪れるときは、インスタグラム上で誕生したファッションブランドがいくつ出店しているかに注目している。それによって、スマートフォンでブランドを検索する若い買い物客に、どれだけ対応しようとしているかが分るからだ。

関係者によると、ノードストロームでは商品ラインをそれぞれ差別化するため、新ブランドの立ち上げ、限定販売のブランドや新興ブランドとのパートナーシップの拡大といった機会を探っているという。

<視界ゼロでの飛行>

全米小売連盟は、今年のクリスマス商戦の米小売売上高を前年比約4%増の7307億ドルと予想している。だが、アドビ・アナリティクスがすでに発表した11月1日から12月19日までのオンライン売上高が13.6%増の12560億ドルであることを思えば、この伸び率はいかにも見劣りがする。このオンライン販売のうち、35.3%はスマートフォン経由によるものだ。

アナリストたちは、小売企業が提供する情報が少なすぎ、タイミングも遅すぎるため、非常に限られたデータから結論を導かざるをえなくなっていると指摘する。

「クリスマス商戦の実態が完全に判明するのは数カ月先だ。(小売企業が)実際に発表するまでは、視界ゼロで飛んでいる状態だ」と、17年間にわたってムーディーズの小売業界アナリストを務め、ウォルマートやターゲット、ベストバイといった企業の分析を担当してきたチャーリー・オシア氏は言う。「小売企業が話題にするのは売上高だけ。だが、我々が知る必要があるのは、彼らがどれだけ利益を上げたかだ」

オシア氏によれば、オンラインショッピングについては、第三者の売上高データやアドビ・インサイトのデータを利用することもあるという。

「私たちが見せられているのは多種多様な材料が使われた、ごった煮のようなものだ。そこから1つの推論を描き出そうとしている」と、オシア氏は話す。

(翻訳:エァクレーレン)

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