ニュース速報

ビジネス

長期金利に強まる上昇圧力、日銀オペや意見交換会で思惑

2019年10月21日(月)18時41分

 10月21日、債券市場では長期ゾーンが終日、弱含みで推移した。写真は昨年6月撮影(2018年 ロイター/Thomas White)

[東京 21日 ロイター] - 21日の債券市場では長期ゾーンが終日、弱含みで推移した。10年最長期国債利回り(長期金利)は前営業日比1.5bp高いマイナス0.140%と8月1日以来の水準まで上昇。18日のオペや市場との意見交換会を受け、日銀が金利のスティープ化を促しているとの見方が底流にある。

21日の新発20年債は前営業日比2.0bp上昇の0.250%、新発30年債は同1.5bp上昇の0.415%。新発40年債は前営業日比1.0bp上昇の0.455%となった。

市場では「黒田日銀総裁の(ロイターとの)インタビューで、マイナス金利深掘りのオプションが排除されていないことが意識された。超長期金利の低下は望まないという日銀の明確な意図もあり、きょうは中期ゾーンが買われ、超長期ゾーンは売り圧力が強まった」(外資系証券)との指摘があった。

日銀が18日のオペで新発30年債第64回債をオペ対象から除外したことや、同日の「市場調節に関する意交換会」の話を受け、「日銀は方向性を明確に示しており、長期・超長期については上昇傾向に持っていきたいようだ」(国内金融機関)との受け止めも聞かれる。

「ドイツ国債はマイナス金利深掘り後もイールドカーブが立っており、日銀はその形状に近づけたいのではないか。30年超以上は実需の買いが入りカーブがフラット化するものの、何とか10年、20年債のカーブを立たせたいのだろう」(外資系証券)との見方が示されていた。

日銀は2016年9月に公表した金融緩和の「総括的な検証」でも言及しているように、長期・超長期ゾーンの過度な金利低下は好ましくないとの立場だ。同ゾーンの金利低下は保険や年金などの運用利回り低下などにつながり、マインド面などを通じて経済活動に悪影響を及ぼす可能性があるためだ。

日銀は9月30日に公表した当面の長期国債等の買入れ運営方針で、25年超について「100─1000億円程度」を「0─500億円程度」に変更した。日銀は下限がゼロである以上、オペをしないこともあり得ると説明している。

この背景には超長期ゾーンの過度な金利低下をけん制する狙いがあるが、だからといって超長期ゾーンで特定の金利水準を目指してオペをしているわけではない。日銀内からは目指しているのはあくまで「10年ゼロ%程度」であって、それと整合的なイールドカーブになるようオペをしているにすぎないとの声が聞かれる。

(坂口茉莉子 志田義寧 編集:石田仁志)

ロイター
Copyright (C) 2019 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国、牛肉輸入にセーフガード設定 国内産業保護狙い

ワールド

米欧ウクライナ、戦争終結に向けた対応協議 ゼレンス

ワールド

プーチン氏、ウクライナでの「勝利信じる」 新年演説

ビジネス

米新規失業保険申請件数、1.6万件減の19.9万件
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめる「腸を守る」3つの習慣とは?
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 5
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙…
  • 6
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 7
    「すでに気に入っている」...ジョージアの大臣が来日…
  • 8
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 9
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 10
    「サイエンス少年ではなかった」 テニス漬けの学生…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 10
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中