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欧州委、ユーロ圏19年成長率見通し引き下げ 貿易や伊財政がリスク
11月8日、欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は、四半期の経済予測で、ユーロ圏の来年の成長率見通しを引き下げ、2020年まで減速が続くとの見方を示した。写真は会見する欧州委員会のユンケル会長。ブリュセルで3月に撮影(2018年 ロイター/Eric Vidal)
[ブリュッセル 8日 ロイター] - 欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は8日、四半期の経済予測で、ユーロ圏の来年の成長率見通しを引き下げ、2020年まで減速が続くとの見方を示した。米国の経済政策や英国のEU離脱、イタリアなど債務水準が高い加盟国による歳出拡大をリスクに挙げた。
成長率見通しの引き下げは予想通りだったが、欧州中央銀行(ECB)が年内に予定する量的緩和政策の解除を複雑にする可能性がある。ただ、欧州委は同時に、今年と来年のユーロ圏のインフレ率見通しを1.8%に引き上げており、ECBが目標とする2%近辺に近づいた。
ユーロ圏の経済成長率は今年は2.1%になるとみられており、昨年の2.4%から鈍化する。来年の見通しは従来の2.0%から1.9%に引き下げた。
20年は1.7%へのさらなる減速を見込む。欧州委が同年の見通しを示したのは今回が初めて。
ユーロ圏最大の経済国ドイツの成長率見通しは今年が1.7%と、従来の1.9%から下方修正。17年の2.2%も下回る。19年は1.9%から1.8%に引き下げた。20年は1.7%を見込む。
欧州委はフランスとイタリアの成長率見通しも引き下げた。イタリアは引き続きユーロ圏で最も低い成長率になるとみられている。[nL4N1XJ5J5]
EU全体については、今年の成長率が2.1%、来年は1.9%、20年は1.8%になるとの見通しを示した。
リスクに関しては、米国の「順循環的な財政刺激策」に起因する米経済の過熱が金利上昇ペースを予想よりも速くする可能性があり、そうなれば米国外にさまざまなマイナスの「波及効果」をもたらすことになるとの見解を示した。また、トランプ政権の政策に起因する貿易摩擦のリスクについても警告した。
歳出拡大を政策に掲げるイタリアもリスクになっていると指摘。「債務水準が高い加盟国の財政の質や持続性に関する疑念は、国内銀行部門に波及して金融安定を巡る懸念を引き起こし、経済活動の重しとなる可能性がある」とした。