ニュース速報

ビジネス

EU、米輸入制限への対抗措置準備 広範な対象 

2018年03月03日(土)09時17分

 3月2日、トランプ米大統領が鉄鋼とアルミニウムに輸入制限を発動する方針を示したことを受け、欧州連合(EU)は対抗措置として米国からの輸入に関税をかける際に対象となる物品のリストを作成した。写真はEU旗(左)と米国旗(右)。2011年12月にドイツのベルリンで撮影(2018年 ロイター/Tobias Schwarz)

[ブリュッセル 2日 ロイター] - トランプ米大統領が鉄鋼とアルミニウムに輸入制限を発動する方針を示したことを受け、欧州連合(EU)は対抗措置として米国からの輸入に関税をかける際に対象となる物品のリストを作成した。リストには自動二輪のハーレー・ダビッドソンからバーボン・ウイスキーに至るまで広範な品目が含まれている。

トランプ米大統領は1日、鉄鋼に25%、アルミニウムに10%の輸入関税を課す方針を来週発表すると表明。EU関係筋によると、EUは米国が表明通りに鉄鋼とアルミニウムに対する輸入制限を発動させれば、欧米間の貿易の「再均衡化」に向け約35億ドルに上る米国からの輸入に25%の関税をかけることを検討している。

ユンケル欧州委員長はドイツのテレビに対し、「われわれは米国と理に適った関係を構築したいが、現実から逃げるわけにはいかない」とし、「ハーレー・ダビッドソン、バーボン・ウィスキー、ジーンズなどに輸入関税をかける」と述べた。

トランプ大統領が輸入制限を発動する方針を表明したことに対しEUの執行機関である欧州委員会は「強硬に」対応するとし、他の国と共に世界貿易機関(WTO)に訴える可能性のほか、米国の措置により行き場を失った製品がEU内に流入するのを防ぐためにセーフガード(緊急輸入制限)措置の発動も検討するとの姿勢を表明している。

EU関係筋は、一段の対抗措置として検討されている措置は欧米間の貿易の「再均衡化」に向け、米国を標的としたものになると指摘。米国の輸入関税がEUの鉄鋼に完全に適用された場合、EUは総額28億ユーロの米国からの輸入に25%の関税をかける可能性がある。内訳は鉄鋼関連、他の工業品、農産品がそれぞれ3分の1ずつになるとみられるが、品目のリストは来週、承認のためEU加盟国に提示される。「再均衡化」に向けた措置は向こう3カ月以内に導入される必要がある。

EUの米国への輸出は2017年は鉄鋼が53億ユーロ(65億3000万ドル)、アルミが11億ユーロだった。

*写真を付けて再送します。

ロイター
Copyright (C) 2018 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ゼレンスキー氏「米国の和平案推し進める用意」、 欧

ビジネス

米CB消費者信頼感、11月は88.7に低下 雇用や

ワールド

ウクライナ首都に無人機・ミサイル攻撃、7人死亡 エ

ビジネス

米ベスト・バイ、通期予想を上方修正 年末商戦堅調で
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 2
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ成長株へ転生できたのか
  • 3
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後悔しない人生後半のマネープラン
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 6
    放置されていた、恐竜の「ゲロ」の化石...そこに眠っ…
  • 7
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 8
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 9
    使っていたら変更を! 「使用頻度の高いパスワード」…
  • 10
    トランプの脅威から祖国を守るため、「環境派」の顔…
  • 1
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 2
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 3
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やってはいけない「3つの行動」とは?【国際研究チーム】
  • 4
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 7
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 8
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 9
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 10
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦…
  • 8
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中