ニュース速報

ゴーン氏報酬、ルノー・日産がオランダ経由支払い一時検討=文書

2018年12月20日(木)11時41分

[パリ/東京 19日 ロイター] - 仏ルノーと日産自動車<7201.T>の連合(ルノー・日産)の幹部が、カルロス・ゴーン氏への日産の報酬の一部について、統括会社であるルノー日産BV(オランダ)を経由して支払う計画を一時検討していたことが、ロイターが入手した文書で分かった。

文書によると、2010年4月22日付のメールで、日産のグレッグ・ケリー前代表取締役が、ルノー取締役会事務局長のムーナ・セファリ氏ら2人に対し、「最高経営責任者(CEO)の報酬の一部を外部に公開せずに、ルノー日産BVが支払うことが可能かについて分析してくれたことをとても感謝している」と述べている。

ケリー氏は「受け取った情報すべてに目を通し、報酬の一部を公開せずにBVが支払うことが可能な法的根拠が十分あることをゴーン氏に説明した」と続けている。

ルノーはロイターへの回答書面で、最終的にルノーはそうした支払いについて「フランスでは公開する必要がある」と伝えたとし、「ルノーが知る限りではこの計画は実行されなかった」と指摘。

同社はまた、ケリー氏は「(ゴーン氏が)連合の相乗効果の実現に向けて取り組んだ期間を反映させるため、ルノー日産BVがCEOの報酬の一部を支払うことは法的に可能かを確認しようと、複数のルノー・日産関係者に照会」したと説明した。

ケリー氏のメールは日産によるゴーン氏の調査で見つかった。

さらに昨年には、ルノー・日産の財務担当者がオランダのサービス会社を経由して、ゴーン氏ら連合幹部に数百万ユーロの非公開の追加賞与を送る構想を立てていた。

ロイターは2017年6月13日にこの計画の詳細を報道したが、その2日後のルノーの株主総会でゴーン氏は計画の存在を否定した。ロイターが入手した文書によると、この計画はその後すぐに撤回された。

文書には、賞与計画に関する電子メールや会議で、ルノーのティエリー・ボロレCEO代理やセファリ氏、日産の西川廣人社長兼CEOら幹部の名前が記されている。

ロイターはこれらの幹部がこの計画においてどのような役割を担ったかは確認できていない。

ルノーは、幹部らがこの賞与計画を主導はしなかったものの、財務アドバイザー会社のアルディア・パートナーズが策定し、「西川、ボロレ、セファリ各氏ら一部のルノー・日産幹部と意見交換」したことを認めた。

両社は幹部のコメント公表を控えた。

アルディア・パートナーズは17年7月25日に、同社のサービス料として150万ドルと4万9219.57ドルの費用をルノー・日産連合に請求している。この額はロイターが確認した5月13日付の契約で合意された料金300万ドルの半分だった。

アルディアのマネジングディレクター、ロバート・ファルゾン氏はコメントを控えた。

日産は、ルノーに連合の財務に関する共同調査を呼びかけており、スイスに連合の新しい組織をつくるという最近の決定についても再検討することを望んでいる。

文書によれば、ルノー・日産の取締役会は9月26日の決議で、同組織に3000万ユーロ(3400万ドル)の資金移転を承認した。ただ関係筋2人は、ゴーン氏の逮捕後に移転手続きは中止されたと語った。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2018 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

日清食品HD、通期業績予想を下方修正 国内の原材料

ビジネス

経済・物価「なお高い不確実性」、米経済下振れに警戒

ワールド

スイス、米関税で近く猶予措置も 企業幹部のトランプ

ビジネス

景気動向一致指数9月は1.8ポイント上昇、3カ月ぶ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評家たちのレビューは「一方に傾いている」
  • 2
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一撃」は、キケの一言から生まれた
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 5
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 6
    レイ・ダリオが語る「米国経済の危険な構造」:生産…
  • 7
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 8
    「非人間的な人形」...数十回の整形手術を公表し、「…
  • 9
    「爆発の瞬間、炎の中に消えた」...UPS機墜落映像が…
  • 10
    中年男性と若い女性が「スタバの限定カップ」を取り…
  • 1
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 6
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 7
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 8
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 9
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 10
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中