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ドラマ『相棒』の脚本家を怒らせた日本のある傾向
反五輪デモの主催団体はいくつかあるが、筆者の知り合いが関わっているものもあり、また筆者自身もデモに参加したことがある。また反五輪ではないが、デモそのものの企画に関わっていたこともある。その経験から言えば、市民運動で日当を払ってデモに参加させるなどということは考えにくい。そもそもデモは主催者の持ち出しだし、むしろ参加者からカンパを募って運営しているのが実情だ。自民党は総選挙のとき、公職選挙法違反日当を払った動員をしていたらしいが、そんな資金は市民団体にはない。もしそのような団体があったとするなら、他の団体を巻き込まないためにも、具体的に名前を示す必要があるだろう。
こうした日当デマは市民運動に対する攻撃として根強く存在している。しかし昨年末は公共放送たるNHKが、具体的な団体名も状況も示さずこのデマを流したということは、大きな問題だといえるだろう。
自ら政治参画の可能性を狭めようとする日本人
年末年始のメディアで起きたこの二つの事例は、日本の市民運動に対する攻撃がいかに激しいかを物語っている。しかしそのことで、日本人の政治意識は低いレベルに止まることになり、『相棒スペシャル』にいたっては、その稚拙な表現により物語の一貫性を欠いてしまうという、ドラマそのものの評価を下げることにもなった。こうした攻撃は、権力者や富裕層以外の市民にとっては得がないのだ。
直接行動は、選挙のような制度とは別の、名もなき無力な市民が政治に参画するための貴重な表現形態のひとつだ。しかし日本では、メディアが直接行動を揶揄し意味がないとみなすことによって、市民は直接行動の参加意欲が削がれ、その政治的な力も失われている。もったいないとしか言いようがない。
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