■競争力のある自国メーカーの育成を
但し、EVも太陽電池も、その生産能力が中国に偏っていることは問題である。2023年の中国のEV生産台数は959万台で世界の7割近くを占めた。太陽電池においてもセルの段階で見ると中国が世界の生産の82%を占めている。これらは人類がこれから気候変動という共通の敵に立ち向かっていくうえでEVと太陽電池は必要であるが、それらを入手しようとすると中国に対する貿易赤字が拡大してしまうのでは他国の不満が募るのも当然である。
ただ、このような不均衡を直していくのに保護関税を用いる国があるとすれば、それはその国におけるEVと太陽電池の高値をもたらし、EVシフトや再生可能エネルギーへの転換の足を引っ張ることになる。保護関税によるのではなく、直接投資の受け入れ促進によって自国の生産能力を増やしていくべきであろう。
でもそうしたら中国メーカーに国内市場を席巻(せっけん)されて、国民の間に「脅威だ」とか「悔しい」といった感情が生まれるかもしれない。それならば中国メーカーと競争できるような自国メーカーを育成することを考えるべきである。もし効果があるのであれば政府から投資をしてもよい。日本政府は2021年度から2023年度にかけて4兆円もの補助金を半導体産業の育成のために支出した。日本が直面する最大の課題は少子高齢化と温室効果ガスの排出削減であるが、半導体はこれらの課題解決に直接貢献するものではないし、間接的に貢献するのかも疑わしい。それよりも温室効果ガスの削減にダイレクトに貢献する再生可能エネルギーやEVの普及に投資する方が、政府の財政資金の使い方としてより納得感があるのではないだろうか。
中国学.comより転載
(注2)このデータの出所である国際エネルギー機関(IEA)では、純電動車(BEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、燃料電池車(FCEV)の合計を電気自動車(EV)としている。中国では「新エネルギー車」という言葉を用いるが、これもIEAのいうEVと意味は同じである。2023年は世界でBEVが950万台、PHEVが430万台、FCEVが8900台販売された。
(注3)IEA, Global EV Outlook 2024, April 2024.
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