こうした自営業者たちには年金だとか他の収入があって貧困で困窮しているわけではないのだろうが、せっかくいい立地を占めながら、そこから得られる可能性のある収益を得ていないのは本人にとっても地域経済にとってももったいない話である。
私がいつも通勤する途上に、長年売り上げが少ない状態が続いている個人商店があったが、ある時にコンビニに転換した。正確に言えば、その店の経営は依然として自営業だが、大手コンビニチェーンのフランチャイズ店になったのである。
営業時間が長くなって、最初のうちは店長が疲れているようにも見えたが、コンビニになる前に比べて客が何倍にも増え、なんと言ってもその一角に活気が生まれた。
この店の経営者は自営業者としての経営の自立性を返上し、大手コンビニチェーンの一員となった。自営農民の立場を返上し、大規模農場の労働者になった中国内陸部の農民と同じである。そして両者ともに収入を何倍にも増やすことができた。
これらの事例から次のような教訓を引き出せる。
自営業を成功させるには才覚と努力が必要である。一方、大規模農場や大手コンビニチェーンといった資本主義的な組織のなかで、上司の指揮に基づいてまじめに働くことのできる人は多い。ざっくり言って自営業が向いている人よりも、労働者として経営者の指揮下で働くことが向いている人の方がかなり多いのではないだろうか。
日本も中国も農業では「自営農信仰」みたいなものがあり、個々の農民が才覚と努力を発揮して豊かになるという理想にこだわりすぎたと思う。中国では農村の高齢化が進む中で、そうした理想を捨てつつあり、資本主義的な大規模農業が広まろうとしているようである。
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