本来なら、都市部において低価格で良質な賃貸住宅を提供できるよう政策を転換すべきだったが、新築マンションの建設需要という目先の利益を優先し、こうした政策は後回しにされた。上限年齢を引き上げた結果、老後破産が増えれば、最終的にそのツケを払うのは国民であり、追加負担が発生するのは同じである。

一方、マンション価格の高騰を受けて、都心部に近いエリアで狭小戸建て住宅を購入する動きが活発になっている。木材は国内産も多く、木造の建設コストはあまり上昇していないので、マンションと比べるとかなりの割安感がある。

だが、狭小戸建て住宅の増加は行政側から見ると問題が多い。これまで1戸の住宅が建っていた敷地を2分割、3分割することになるので、狭いエリアに木造住宅が密集し、災害時のリスクが高くなる。権利者数が多くなるので、将来における再開発の難易度も上がるだろう。

だが良質な賃貸住宅が提供されない以上、割安な住宅を求める消費者が増えるのは確実である。場当たり的な住宅政策をやめない限り、日本の住宅問題は今後も継続する可能性が高い。

<本誌2020年10月20日号掲載>

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