[東京 12日 ロイター] - 新日鉄住金<5401.T>の栄敏治副社長は、ロイターとのインタビューで、2019年3月期から始まる次期中計は、円高や国際市況の下落など「3重苦」を前提にして、どこまで利益を上げることができるかがポイントになるとの見方を示した。
国内合理化や海外M&Aなどを視野に入れ、為替に左右されない体質を作ることが柱のひとつになる。インタビューは9日に行った。
栄副社長は「足元の状況は3重苦」と表現した。中国の過剰輸出に伴う国際市況の下落、原油価格の低迷によるシームレスパイプの価格や需要への影響に円高が加わった。
国際市況については「大底は脱したものの、回復には紆余曲折がある」との見通しを示した。一方、下期からの緩やかな回復を見込んでいた国内需要は「黄色信号」が灯りはじめた。鋼材の需要先は自動車メーカーなど輸出依存産業が多く「円高がさらに進むようだと、生産計画の見直しもあり得る。不透明感が増している。回復の期待はあるが、英国の欧州連合離脱決定以降の円高の定着がアゲンストの風になっている」と懸念する。
国際市況や原油価格など想定した前提が大きく異なってきたことで、2015年3月に発表した中期経営計画に対しても「大きくビハインドしていることは間違いない」という状況。ただ、現中計については「見直すのではなく、コスト削減の加速化や商品開発、シェアアップなど自助努力でできることはしっかりとやっていく」という考えだ。
一方で「3重苦」が短期的に解消される見通しにないことから、次期中計については「3重苦を前提としてどこまで利益をあげられるかだ」としたうえで「国内では合理化や設備の集約を進めるといった固定費対策をやることになる。海外事業では、さらなるM&Aを含めた拡大策や既存事業の強化もある」と指摘。こうした施策によって「為替に左右されない体質作りがひとつの柱になる」とした。
同社の持分法適用会社であるブラジル製鉄大手のウジミナス<USIM5.SA>については、主要株主である新日鉄住金と南米鉄鋼大手のテルニウム<TX.N>が経営をめぐり対立を続けているが、「ブラジルのポテンシャルは高く戦略的には外せない。時間がかかるが、ウジミナスの建て直しに専念することが中長期のグローバル戦略に資するとの信念を持ってやっている」と述べた。ウジミナスの分割は「ひとつのオプションであることは否定しない」としながらも、建て直しが先決であり「さらなる合理化、コスト切り下げの施策を追及していくことになる」との考えを示した。
(清水律子 大林優香)