[北京 15日 ロイター] - 中国では民間投資が落ち込んでいるため、政府が経済成長を支えるためにインフラ投資を強化している。この結果、債務が積み上がり、非効率な公的セクターの改革がさらに先送りされるとの懸念が高まっている。
中国政府は4兆元(6100億ドル)の景気対策によって重債務を背負った2008─09年の繰り返しを避け、財政支出を民間投資の促進につなげたい狙い。このため民間投資の減速をことさらに心配している。
政府系主要シンクタンクの有力エコノミストは「われわれは成長支援をインフラ投資に頼っているが、過度な依存は禁物だ。民間の投資を促す必要がある」と語る。
1─3月の固定資産投資伸び率は2000年以来初めて10%を割り込んだ。内訳を見ると、民間投資の伸びが過去最低の3.9%にとどまった半面、国有企業の投資は23.3%も増え、二極化が鮮明だ。
中国指導部は、成長を押し上げて雇用を増やし、デフォルト(債務不履行)と工場閉鎖を避けようと努める一方、厳しい構造改革により過剰生産能力を減らすよう迫られており、綱渡り状態にある。
政府は今年、6.5─7%の成長率目標を達成するため財政赤字を国内総生産(GDP)の3%まで拡大するとしている。5月の政府支出が17.8%と4月の4.5%から急増したため、一部のアナリストは財政赤字が目標を上回ると予想している。
アナリストによると、官民パートナーシップにより民間資本をインフラプロジェクトに呼び込む試みは、ほとんど成果を挙げていない。収益率が低く、投資家保護の仕組みも欠いているからだ。
しかし公共投資頼みでは、政府が掲げる債務削減は覚束ない。債務削減は政府が掲げた今年の優先課題トップ5に入っており、第12次5カ年計画でも長期目標に据えられているが、大半のエコノミストの予想では債務はさらに拡大する見通しだ。
全国人民代表大会(全人代)の経済顧問を務める人物は「むやみにインフラ投資を増やせば再び過剰設備を生み出し、債務問題も再燃する」と懸念を示す。
<悪循環>
国際通貨基金(IMF)のリプトン筆頭副専務理事は14日、国有企業の債務増大に迅速に手を打つよう中国側に提言した。
格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスも先月、中国国有企業の債務は他のいかなる格付け対象国に比べても多いと指摘した。
清華大学のエコノミストで中国人民銀行(中央銀行)金融政策委員の白重恩氏は4月、公的部門頼みの成長に警鐘を鳴らし、「悪循環が起こっている。潜在成長率の低下、景気対策、効率化の遅れ、さらなる潜在成長率の低下の悪循環だ。われわれはこの罠(わな)に陥る危険がある」と述べた。
(Kevin Yao and Elias Glenn記者)