[フランクフルト 11日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)と欧州中央銀行(ECB)は、互いに逆方向の政策を行うことで金融市場に動揺が走るとしても、経済状態が異なるのだから仕方ないとして受容する姿勢だ。両中央銀行の高官らが語った。

中銀高官らによると、FRBとECBは定期的に会話をしているが、政策協調を図ったり、相手が次にどのような政策を行うかを探ろうとすることはない。

政策の方向性の違いによって市場が動けば、それを見通しに織り込むのが両中銀の姿勢であり、金融政策によってその動きに対抗しようとはしないという。

ECBは先月、12月にも追加緩和を行うと示唆して市場を驚かせた。対照的に米国経済は堅調で、FRBは意表を突くタカ派的なメッセージを発し、12月の利上げ観測が高まっている。

これらが相まってユーロはほんの数週間でドルに対して5%超下落した。今後は数多くの主要中銀が政策変更を行いそうなので、市場の急変動はこれが最後ではないだろう。

英国経済が回復しているため、イングランド銀行は来年のある時点で利上げしそうだ。しかし中国の景気は減速し、中国人民銀行は既に金融緩和を進めている。日銀とオーストラリア準備銀行も追加緩和に含みを残している。

あるECB理事会メンバーは「いよいよ政策の方向性が分かれる時期に入る。われわれは、しっかりと目を見開いて入っていく。これは異なる大陸における異なる景気循環ステージを反映したものだ」と語った。

ECB理事会メンバーのハンソン・エストニア中銀総裁は、こうしたかい離は当然のことだと言う。「他の区域の金融政策は、われわれが影響を及ぼせない外部要因だ。天候のようなものであり、われわれは既成事実としてそれを織り込む。為替レートと同じく、もちろん影響はある。政策変数として影響してくるので、それを見通しに織り込んでいく」と説明した。

別の理事会メンバーは、ユーロ相場は最近の理事会で幅広く議論されておらず、為替相場を管理しようと試みたことはない、と語った。

シティグループの推計では、市場はFRBが2016年1月から18年1月までに115ベーシスポイント(bp)の利上げを実施することを織り込んでいる。

3番目に登場したECB理事会メンバーは「FRBの利上げスピードがわれわれの予想より速まることがリスクだ。そうなれば市場のボラティリティは大幅に高まり、われわれとしてもFRBの利上げを無視しにくくなる」と話した。

<イエレン議長の『委員会スタイル』>

FRBに近い筋によると、FRB当局者らが他の中銀との間で金融政策についての意見交換を渋るのは、イエレン議長が政策決定において連邦公開市場委員会(FOMC)メンバー全員の意見を尊重するスタイルを採っており、次回の政策がこれまでよりずっと見通しにくくなったためだ。

海外中銀と密室で政策を協議したり、決めたりした場合の影響についても恐れているという。

FRBもドル相場の動きを勘案して政策を決定している。しかし米国の貿易はほとんどがドル建てであるため、為替変動が実体経済に及ぼす影響はユーロ圏に比べてはるかに小さい。輸出業者からも、現在のドル高に対する不満の声は聞かれない。

それでもブレイナードFRB理事は最近の講演で、ドル高が進んだことに照らせば、米国経済には既に引き締めの影響が及んでいると釘を刺した。

ただ、米国経済は完全雇用に近付いており、FRBは市場を利上げに備えさせてきたため、行動を起こした場合よりも躊躇した場合の打撃の方が大きいかもしれない。

日銀のある政策責任者は「先送りし過ぎれば、結果的に望む以上のペースで利上げせざるを得なくなるかもしれない。利上げサイクルを早めに開始するよりも、その方が市場を混乱させる可能性がある」と語った。

複数の関係筋によると、FRBとECBの幹部らは、国際決済銀行(BIS)の会議の傍らで定期的に会話を交わしているが、ほとんどは既に公開されている情報についてだ。

FRBのフィッシャー副議長とECBのクーレ専務理事が会話することが多いという。ドラギECB総裁もフィッシャー氏と個人的な付き合いがあることが知られている。

(Balazs Koranyi記者)

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