[東京 24日 ロイター] - 日経平均<.N225>が18年ぶりの高値を付けた。2000年のITバブル時と異なるのは企業業績の裏付けがあることだ。国内勢は依然として慎重だが、海外勢の上値を追う買いが継続している。ただ、第1・四半期も終えてない段階で、15%程度の増益を織り込む動きでもある。これ以上、期待先行の株高が続けば「バブルの入り口」も見えてくる。

<ITバブル時に比べ1株利益は4倍増>

ソフトバンク<9984.T>の株価が、現在の26倍に当たる上場来高値19万8000円まで上昇した2カ月後の2000年4月、日経平均は当時の高値2万0833円を記録した。IT関連株が軒並み急騰。日経平均ベースの予想1株利益(会社側予想)は290円で、PER(株価収益率)は71.8倍と、まさにバブル的様相だった。

日経平均の終値は24日、一時2万0952円まで上昇。当時の高値を更新し、1996年12月以来、18年半ぶりの水準にまで上値を伸ばした。予想1株利益は1230円とITバブル時の4.2倍。株高の裏付けはできている。PERは16倍半ばと、過去のレベルからすれば上限に近いが、バリュエーションからは「バブル」とは言えない水準だ。

2016年3月期の企業業績が市場予想の15%増益を達成すれば、1株利益は1320円。PERが16倍ちょうどまで低下したとしても、日経平均は2万1120円となる。さらに企業の想定為替レートは1ドル115円程度であり、現状の120円を超える円安が続けば、20%増益も不可能ではない。PER16倍で20%増益なら、日経平均は2万2000円となる。

ベイビュー・アセット・マネジメント日本株式運用部長の佐久間康郎氏は、ITバブル期高値は1つの通過点にすぎないと強気だ。「配当利回りが長期金利を上回り、かつ増配の可能性もある中で、日本株の上値余地はある」とし、日経平均は9月末までに2万2000円程度が視野に入るとみている。

<買い主体は海外勢、今後荒れる展開も>

ただ、現在は6月も終わっていない段階だ。「第1・四半期の結果さえ判明しない段階で、15─20%増益を織り込むのは時期尚早。これ以上の株高はバブルの世界に入ってくる」(ニッセイ基礎研究所・チーフ株式ストラテジストの井出真吾氏)との声も少なくない。

18年半ぶりの高値に日経平均を押し上げたのは、やはり海外勢だとみられている。日本企業の業績拡大の確度が高まったというわけではなく、「ギリシャの早期デフォルト(債務不履行)の可能性が低くなったということで、足の速いヘッジファンドなどがショートカバーや新規ロングに動いた」(国内証券)とみられている。実際、過去2日間、先物手口では欧州系証券が目立っていた。

海外投資家は、5月第3・4週で日本株を現物株と先物合計で1兆7489億円買い越し、日経平均はその間12連騰を記録。その後、6月第1・2週と1兆0674億円売り越し、日経平均は今月18日に2万円を割り込んだ。

日本経済や日本企業の状況や見通しに、その間、大きな変化があったわけではなく、海外勢の売買が株価の方向性を決めているのが、現状の日本株相場と言える。

企業業績の裏付けがあるため、日本株相場が崩れる可能性は大きくないだろう。しかし、海外勢の動向次第では、再び荒れる展開を覚悟する必要がある。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券・投資情報部長の藤戸則弘氏は、今後の相場の焦点はやはり米利上げだと話す。「グローバル金融相場の中に日本株もある。米利上げに際してヘッジファンドの風向きが変われば、企業業績の裏付けがあるとはいえ、影響を受けざるを得ない」との見方を示す。

<楽観できない企業業績>

さらに今期の15%増益予想に疑念が生じれば、日本株高の前提が大きく揺らぐ。

ドル/円<JPY=EBS>は今月初めに12年半ぶりに125円台に乗せたが、輸出は依然として鈍い。日銀が17日に発表した5月の実質輸出は、前月比5.0%低下と大きく落ち込んだ。現地生産化が進んでいるとはいえ、円安効果は計算上の収益上積み以外は明確に表れていない。

内需は、外国人観光客の急増でいわゆる「インバウンド消費」が国内消費を支えているが、中国の景気減速や株価急落で先行きには不透明感も強まっている。一方、日本の家計は、輸入物価の上昇が圧迫。企業業績は好調でも、実質賃金はようやくマイナスを脱した程度だ。

16年3月期の企業業績が10%増益にとどまれば、PER16倍で日経平均は2万0200円と、今の株価(24日終値は2万0868円)は割高ゾーンに入る。17年3月期以降の増益基調が現時点で見通せればいいが、来期以降の成長ドライバーは見えていないのが現状だ。

コーポレート・ガバナンスの改善など成長戦略が実を結ぶのは、まだ相当先のことだ。さらなる円安ぐらいしか、確実な増益要因は見当たらないが、1ドル130円に迫るような円安は、日本経済だけでなく日本企業にとってもマイナス面が大きくなる。

6月ロイター企業調査(回答は250社程度、資本金10億円以上)では、1ドル130円まで円安が進んだ場合、53%の企業が今期収益にマイナスの影響が出ると回答した。

17年4月には10%への消費再増税が待っている。17年3月期は駆け込み需要があったとしても、翌期にはその反動があるのは間違いない。トータルでみれば、増税はやはり景気にはマイナスだ。

日経平均は2万1000円程度までであれば、今期の企業業績の増益期待で説明はできる。しかし、現時点での状況からすれば、それ以上の高値はバブル的な様相を強めていくことになろう。

(伊賀大記 編集:田巻一彦)

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