皮肉なことに、ドイツ空軍はノリッジを高く評価していた。第2次大戦さなかの1942年、彼らはイギリスの大いなる文化の中心地を破壊することでイギリスの士気をくじこうと、ノリッジを標的にした。「ベデカー爆撃」(ドイツのベデカー社が発行していた有名な旅行ガイド本にちなんで名づけられた)と呼ばれるこの攻撃は、他にもバースやカンタベリー、ヨークなど、軍事的意義としては見当違いと思われる都市を標的にした。

ノリッジをいじり倒した映画を進んで上映

イギリスの人々は概して、ノリッジをちょっとした僻地と見ている。ノリッジがどこにも通じていない、つまりそこへ行くならそこに落ち着くしかない、というのも理由の1つだろう。地元のアクセントが少し田舎っぽいというのもある。僕は10歳かそこらのころ、若者の一団がノーフォークのアクセントで話しているのを聞いて、どうしてあんな話し方をするんだろう(まるでわざと笑える話し方をしているみたい)と不思議に思ったことを今でもよく覚えている。伝え聞くところによれば、コンピューターを「コンプーター」と奇抜な発音で話す人もいるらしい(僕は耳にしたことがないけれど)。

でも僕がノリッジの人々で本当に気に入っているのは、全てを冷静に受け止めるところだ。田舎者と片付けられてもイラついたり怒ったりする代わりに、彼らはそれを自虐ネタにしてしまう。「違う! われわれは繁栄の文化を持つ歴史的都市で......」と言うのではなく、彼らは肩をすくめて「まあね、僕らはノリッジの人間で、ファッショナブルじゃないからね......」と言うのだ。

有名なことに、ノリッジを舞台に、その退屈さと何とも言いようのない土地柄をいじり倒した『アルファ・パパ』(2013年)という映画がある。この映画をボイコットするどころか、ノリッジはプレミア上映をわが街で行うと公言し、その通り実施した。

今回、僕がノリッジを訪れて2分もしないうちに、クールな若い女性が持っているバッグが目に留まった。そこに書かれていたのは、「パリ NY 東京 ノリッジ」の文字。歯切れよくて、面白くて、品があって、真のイングリッシュ・ジョークで、おかげで僕の一日はご機嫌なものになった。

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