今も毎朝、罪悪感にまみれて目覚める。自分の選択は正しかったのか? この戦争はいつ終わるのか? ガザに残る家族が爆撃と飢えと渇きに耐えているとき、私だけまともな生活を送る権利があるのだろうか? ひとりのパレスチナ人として思う。私たちにはふつうの、人間らしい暮らしをする権利さえないのか。それでも私は希望を捨てない。いつの日かきっと、家族をここへ呼び寄せられると信じている。私は当地の大学に入りなおし、画家としての活動も再開した。「家を探して」の絵は持ってきた。エジプトの首都カイロに落ち着いて今日で3か月。毎日が罪悪感と無力感の連続だ。家族とはほとんど連絡を取れない。むこうはインターネットの接続が弱いからだ。家族とつながっていない。この感覚は耐えがたい。

だから自分に言い聞かせる。私は家族のためにここへ来たのだと。私の未来は家族と共にある。いつかきっと恩返しする。過去10年に描きためた絵はすべて失ったけれど、自分のギャラリーを開くという夢は捨てない。まだ生きる時間はあるのだから、必ず自分の夢をかなえてみせる。絶対に。パレスチナ人だもの、失うことには慣れている。そして生き延びることにも。

ガザよ、わが故郷(ふるさと)よ。こんな状態のあなたを見るのはつらい。あなたはどんなときも私たちを守り、育ててくれた。だから私たちはあなたを愛する。あなたがどんなに破壊されても、平和なときも戦争のときも愛し続ける。そしていつの日か、あなたを再び愛すべき故郷(ふるさと)に再建してみせる。あなたを想う気持ちは絶対に変わらない。あなたの解放の日は近い。だからくじけないで。

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アヤ・ザクト

Aya Zaqout

現在はエジプトを拠点に海外のギャラリーで作品展示を行っている。ガザにいる家族は北部に戻れておらず、帰還がかなったにせよ戻れる家屋はない。カイロでの家族との再会を目指しているが、国境封鎖が解かれてもそれには最低1万ドルがかかるという。

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〈ガザ〉を生きる パレスチナの若者たち10年の手記
 【編】アフメド・アルナウク、パム・ベイリー
 【訳】沢田博&チーム・アルミナ
  四六判上製/332ページ/2400円+税
  原書房より2025年12月8日刊行

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【動画】ガザでのジェノサイドが創造的表現に与えた影響について語るアヤ