「例えば、生成AIなんて、今の親が子どもだった時代はそんな言葉すらなかったわけです。しかし、今の子どもたちはその中で成長している。それだけ、自分の時代の生育環境と今の時代のそれとは違っているのです。

当然、こうした環境の中で引き起こされる暴力は今までにないものになります。古い知識のまま、今の子に何かを言っても通じないし、理解もしてもらえない。だからこそ、親は『自分の時代はこうだった』という先入観を捨てて、今起きている現実を客観的に受け止めなければならないのです。

今のいじめや暴力はどのような形になっているのか。加害児はなぜそうした行為に及んでしまうのか、被害児はそれによってどのように傷ついているのか。そこを正確に理解するということです」

その次に必要なのは、子どもたちが加害側にも被害側にもならない仕組みづくりだという。石井さんは続ける。

「スマホやアプリの使用は止められません。いくら学校や国が規制しても、限界があります。だからこそ、子どもがスマホやアプリを使いつつも、加害の側にも、被害の側にも立たない取り組みをしなければならないのです。

それは家庭での取り組みから学校や地域での取り組みまで多岐にわたるので一言ではまとめられません。詳しい内容について、新刊『傷つけ合う子どもたち』の中に詰め込んでいますので、関心があれば手に取ってみてください。

ここで言えるのは、新しい時代に合った情報・スキル・人間性を子どもたちに与えることです。それさえできれば、子どもたちはスマホやアプリを正しい用途で使用し、私たち大人が想像できないほどの飛躍を遂げ、人生を輝かせていくことができるようになるはずです」

『傷つけ合う子どもたち――大人の知らない、加害と被害』
傷つけ合う子どもたち――大人の知らない、加害と被害

 石井光太・著

 CEメディアハウス

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石井光太
写真:宮本信義

石井光太(イシイコウタ)

1977年東京都生まれ、作家。 著書に『物乞う仏陀』『神の棄てた裸体』『絶対貧困』『レンタルチャイルド』『遺体』『浮浪児1945-』『「鬼畜」の家』『43回の殺意』『本当の貧困の話をしよう』『こどもホスピスの奇跡』『ルポ 誰が国語力を殺すのか』『ルポ スマホ育児が子どもを壊す』など多数。

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