とはいえ、こうした動揺の大部分が24時間以内に起きたことは、今回の急落がさほど深刻な性質のものではないことを物語っている。実際、6日の東京市場は大幅に反発し、日経平均は前日比10.2%高と、1日の上昇率で歴代4位を記録した。

上昇は翌7日も続き、円相場も7月末の利上げ決定以降の急騰を帳消しにする落ち着きを見せた。

これを後押ししたのが、日銀の内田真一副総裁の発言だ。内田は7日の講演で、株価や為替が急激に変動するなら、追加利上げは「慎重に考えるべき」だと語った。

ただ、この発言は、必要なら追加利上げもあり得るという、1週間前の植田の発言と矛盾するようにも見えた。

この種のコミュニケーションは、「日銀に対する信認を損ねるのではないか」と、野村総合研究所の木内登英(たかひで)エグゼクティブ・エコノミストは問いかける。木内に言わせれば、内田の発言は踏み込みすぎであり、日銀のメッセージ戦略には問題がある。

しかしそのメッセージは、これからの数週間で決定的に重要になる可能性が高い。なにしろほとんどのアナリストが、市場の動揺はまだ終わっていないと考えている。

木内は、今後3年で円相場は1ドル=115円台の「適正水準」に戻ると予測する。

「米経済の状況にもよるが、現在の調整局面は、まだ道半ばだ。それにより(急激な円高や株安で)危機的になったのは日本だけで、世界の市場は違った」と、木内は語る。

どうやら円キャリー取引を続ける人が安心できるのは、まだ先になるだろう。当面は、さらなる市場の動揺を覚悟する必要がありそうだ。

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