印象に残るのは奇怪さばかりだが......

そしてついに、チョプラ雲に突入する時が来る。ハヌーシュの託宣によれば、そこに潜む謎は底知れず、限りある人間の知性では理解できぬものだとか。でも怖くはないし感動もない。

麻薬でハイになった男が口走るトリップ体験の説明みたいで意味不明だ。監督としては、たぶんヤクブの心の底への旅を、宇宙のかなたへの旅になぞらえて描いたつもりなのだろうが、どうにもインパクトに欠ける。

だから『スペースマン』で印象に残るのは、孤独なヤクブと宇宙グモのハヌーシュが育む友情の底なしの奇怪さばかり。甘いヘーゼルナッツペーストをこよなく愛する宇宙グモの姿に涙する日が来るなんて思ってもいなかったあなたには、まあ必見かも。

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【予告編動画】宇宙グモと孤独な男の奇怪な友情...映画『スペースマン』
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