Tamiyuki Kihara
[東京 12日 ロイター] - 日本政府が、米国とイランの停戦合意後にホルムズ海峡へ派遣する艦船の選定に入った。多国間の枠組みに加わる可能性など複数のシナリオを想定し、補給艦を含めた機雷の掃海任務に必要な装備一式を派遣することも視野に入れる。実際の派遣は現地の安全が完全に確保されるなど、複数の要素が満たされることを条件とする。
複数の政府関係者が明らかにした。このうちの1人は、艦船派遣の可否を判断する要素として、米イランの停戦合意、国際法上の正当性、現地の安全が完全に確保されること、周辺国との意思疎通の四つを挙げた。その上で、自衛隊法に基づき、「停戦合意が実現した場合にどう派遣するか具体的に検討している」と語った。
別の関係者によると、直接的な掃海任務に当たる掃海艇と掃海母艦に加え、補給艦と護衛艦を同行させることも選択肢にある。停戦実現後に立ち上がることが想定される英仏主導の枠組みに加わって共同作業をすることになれば、「フルセットの派遣は必要ないかもしれない」と関係者の1人は説明した。一方、日本が多国間の枠組みで任務に当たるか否かは「完全に白紙だ。指揮命令系統の問題もある」と話した。
防衛省はロイターの取材に「何も決まっていない」と回答した。
トランプ米大統領が関係国にホルムズ海峡の安全確保への積極的な関与を求めてきたことから、日本政府は今年3月以降、自衛隊派遣の可能性を模索してきた。ただ、停戦前の派遣は憲法上の制約があるとして見送ってきた経緯がある。
高市早苗首相は15日からフランスで開かれる主要7カ国(G7)首脳会議に出席する。中東情勢の悪化で世界的にエネルギー供給が混乱する中、ホルムズ海峡を含めた海上交通路(シーレーン)の安定の重要性などを訴える。トランプ氏と会談し、ホルムズ海峡の状況について意見を交わす可能性もある。
トランプ氏は11日、ホワイトハウスで記者団に「イランとの戦争で素晴らしい解決に至った」とした上で、和平合意の署名は「間もなく、おそらく週末にも欧州で行われる可能性がある」と述べた。イランメディアは、交渉文書の大部分は最終決定されたものの、「イランは合意についてまだ最終決定していない」とのバガイ報道官のコメントを伝えており、日本政府は慎重に情勢を見極める構えだ。
自衛隊の掃海艇派遣が今回実現すれば、湾岸戦争終結後の1991年以来。当時は自衛隊初の海外任務として、ペルシャ湾に敷設された機雷を除去した。日本は自衛隊創設前の朝鮮戦争中、国連軍の要請で朝鮮半島の海域へ掃海艇を派遣したこともある。
(鬼原民幸 編集:久保信博)