スラパック社の製品と共同摂理者のひとり、ラウラ・ティルッコネン-ラヤサロ
スラパック社に展示された製品例。高級ブランドのシャネルも、化粧品容器に「スラパック」素材を使用。手前は、共同設立者の1人、ラウラ・ティルッコネン-ラヤサロさん。

スラパック社(2016年設立)も、木材ベースのプラスチック素材を開発した。木材はチップや粉などになった廃材で、農業廃棄物も使う。同社のミッションは、生態系全体に悪影響を与えるマイクロプラスチックの問題を解決すること。

様々な企業がスラパック社のプラスチック素材を購入し、化粧品容器や食器、スピーカーなどの製品を作っている。

「スラパック」プラスチックは、生分解性だ。市場に出回ったスラパック製品は、回収され、処理施設で完全に堆肥化されることを想定している(回収・堆肥化は各製品メーカーの責任)。家庭用コンポストは、堆肥化にかなり時間がかかる場合があるため勧めていない。もし、スラパック製品がごみとして焼却されても、CO2排出量は化石燃料由来のプラスチックより少ない。また、製品が屋外に廃棄されても、植物などと同じスピードで分解される(1~5年ほどで完全に分解)。

スラパック社は、スラパック製品を化学分解して、再び材料にするプロセスの構築も進めている。

著名ブランドが、木や古着から作った繊維を採用へ

ファッション業界は、製造から消費まで多くの環境問題を引き起こしている。CO2排出や水の大量消費、着なくなったり売れ残った服の処理問題もある。古着は、日本からもヨーロッパからも途上国などに輸出され、結局、使われることなくごみとなって捨てられているという実態も報道されている。

日本では、いくつかのファッションブランドが古着を再販したりリメークする、規格外生地で衣類を作るといった環境負荷を減らすアイデアを形にしている。ヘルシンキで見た新繊維も、こうした流れにある画期的な取り組みだ。

マリメッコ本社と「マリメッコ×スピンノヴァ繊維」のシリーズ
染色工場併設のマリメッコ本社。昨年、本社のCO2排出量を2019年比で72%削減した。「マリメッコ×スピンノヴァ繊維」のシリーズは、マリメッコを代表するウニッコ柄。

日本でも人気のファッションブランド、マリメッコの哲学は「タイムレスで長持ちするファッション」。同社は、サステナビリティを強化している。繊維や染料の気候への影響低減は、その一例だ。天然染料のシリーズ、余り布を糸にして布を織り、新しい商品にしたシリーズなどを発表している。2022年夏に発売された、「マリメッコ×スピンノヴァ」シリーズも、環境に配慮している。

同社を代表するデザインとして有名なウニッコ柄(ケシの花)のシリーズ(ジャケット、パンツ、バッグ)は、デニムのような素材感。環境に優しい秘密は、クモの糸にヒントを得た繊維「スピンノヴァ」だ。布の成分は約 20% がスピンノヴァで、残りはコットン(大部分がオーガニックコットン)。

スピンノヴァの繊維と工場
手前左の短い繊維が「スピンノヴァ」。非常に柔らかい。中央は糸、右は布にした状態。背後は繊維の原料。今秋完成した初の工場(画像©SPINNOVA)で、持続可能な方法で栽培されたユーカリの木の繊維からスピンノヴァ繊維を製造する。

スピンノヴァ繊維の原料は木材、農業廃棄物、繊維くず、皮革のくずなど。材料別に製造工場を建設するという。製造において、有害な化学物質は一切使用しない。従来の綿と比較して、水の消費量は99.5%削減され、CO₂排出量は74%少ないという。

スピンノヴァは100%生分解性で、マイクロプラスチックも出さない。数回にわたって100%リサイクルでき、品質は損なわれないという。

スピンノヴァ社の設立は2015年。当時すでに、世界の繊維生産の需要は高まる一方で、土地不足と水の減少により、綿の供給が大幅に減少していくと予想されていたという。同社は、綿ではない、木材のような再生可能な原料と、環境負荷を最小限に抑えた繊維製造法を広げていく必要があると考え、何年もかかって新技術を開発した。

人口減の自治体を救う「小さな浄水場」──誰もが常に安心な水にアクセスできる社会の実現へ
人口減の自治体を救う「小さな浄水場」──誰もが常に安心な水にアクセスできる社会の実現へ
PR
細胞培養で、環境破壊や食料危機に備える