事務総長の立場で、今この問題を取り上げれば、国連が北朝鮮の核開発だけでなく人権問題も注視していることを国際社会にアピールできる。収容所にいる北朝鮮人は不法移民であって難民ではなく、帰国後に処罰を受ける恐れはないなどと主張し、送還を正当化する中国の欺瞞を暴く効果もあるはずだ。

90年代半ばに中国と北朝鮮の国境地帯に入った国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の調査団は、飢餓に苦しみ食べ物を求めて国境を越えた脱北者は差別的な食料配給制度の犠牲者であり、難民と見なせると結論付けた。

こうした証拠を握りつぶすために、中国は90年代末にUNHCRの調査団が国境地帯に入るのを拒み、08年には首都北京のUNHCRのオフィスに脱北者が駆け込むことを禁じた。今や北朝鮮と密約を結び、脱北者を犯罪者扱いして強制送還しようとしている。中国のこうした露骨な国際条約違反は決して看過できない。

第2にグテレスは部下たちの能力を活用し、外交による解決策を探る各国間の協力の枠組みを構築できるはずだ。

リーダーシップの発揮を

この枠組みには、脱北者の処遇で中国に物申せる国々や脱北者を一時的に受け入れる用意がある国々などが加わることが望ましい。韓国は移住を希望する脱北者を全て受け入れる方針だが、今の政治状況では最初のステップとしてアジアのほかの国が受け入れるほうが無難だろう。

3つ目として、グテレスはUNHCRとOHCHRが連携し、脱北者が希望する国に安全に渡航できる方策を立案するよう指示すべきだ。UNHCR中国オフィスの公式サイトは脱北者の問題に言及すらしていない。

30万人以上のインドシナ難民が「事実上(中国社会に)統合」されていると述べながら、中国社会に統合されることを望んでいる大勢の脱北者の存在には触れていない。中国当局は脱北者を統合するどころか、北朝鮮からの出稼ぎ労働者を取り締まり、中国人男性と結婚した北朝鮮人女性を夫や子供と引き離して本国に強制送還することも辞さない。

中国の難民問題は規模こそ大きくないが、残酷さでは深刻を極める。各国政府と国連がさまざまなレベルで連携し問題解決に当たるには、強力なリーダーシップが不可欠だ。過去には巧みな外交交渉で中国を説得し、脱北者が希望する国に渡航できたケースもある。今こそ国連のトップがそうした交渉に一肌脱ぐべきだ。

From thediplomat.com

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