<脱炭素、多様性、エンタメ化......時代の変化を捉えモデルチェンジに挑むF1は肥沃なアメリカ市場を狙う>

今年で2度目の開催となったF1マイアミGP(グランプリ)、5月7日の決勝で勝利のチェッカーフラッグを受けたのはレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンだった。しかし、真の勝者は運営母体F1グループのCEOステファノ・ドメニカリと、7年前に44億ドルでF1を買収した米企業リバティメディア(本社コロラド州)だろう。

なぜか。ヨーロッパ中心だったF1が、今はアメリカで若い(そしてリッチな)ファンを増やしているからだ。SNSを駆使した情報の拡散とネットフリックスの連続ドキュメンタリー『栄光のグランプリ』の人気、そして「ウォーク(社会の不公正や差別に対する意識が高い)」なイメージ戦略のおかげだ。その一方、表彰式では盛大にシャンパンをかけまくるし、観客席には世界中のセレブが勢ぞろい。しかも大金が動く(現役最強ドライバーのフェルスタッペンの今季の年俸は約5000万ユーロとされる)のだから、若い世代が食い付くのも無理はない。

【動画】ドキュメンタリー『栄光のグランプリ』予告編

「初めてF1を見るファンのハートをがっちりつかみたい」。マイアミGPで訪米したドメニカリは本誌にそう語った。「エキサイティングなレースを体で感じでほしいし、レースを支えるスタッフの熱意と技術も知ってほしい」

F1の主戦場は今もヨーロッパだが、米リバティメディアが経営権を握ったこともあり、アメリカ勢も相次いで名乗りを上げている。工作機械大手のハースは2016年から参戦しているし、フォードは26年以降、レッドブルにエンジンを供給する予定。またアンドレッティ・グローバルはGMと組んで、キャデラック名義での参戦を表明している。

アメリカ人としては15年以来となるF1ドライバーも誕生した。フロリダ州出身で22歳のローガン・サージェントだ。「地元で走れるのはいいよね」と、マイアミGPに臨むサージェントは言った。「アメリカ代表って立場だから、もちろん名誉なことだ。それに自分はここマイアミで自動車レースを始め、ついにF1でここに戻って来られた。これって、すごく特別だ」

マリオ・アンドレッティが1978年シーズンにアメリカ人として2人目の総合優勝を果たして以来、アメリカでF1人気がこれほど高まったことはない。22年にESPN系列でF1を視聴した人の数は、1レース当たり平均120万人と記録的な数に上った。この年のアメリカGP(テキサス州オースティン)に詰めかけたファンの数は約40万人で、F1レース史上最大だった。

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生ける伝説マリオ・アンドレッティ1978年の雄姿 BETTMANN/GETTY IMAGES
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