ここに西側から入るレオパルト2戦車などでてこ入れができれば、今年の春は間に合わないが、夏以降に大規模な攻勢に出ることは考えられる。その先にクリミアまで狙いに行く能力が残っているかどうかは物理的な軍事力との相談になりますが。

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3月18日、プーチンがクリミア半島の軍港セバストポリを訪れた SPUTNIK-RUSSIAN PRESIDENTIAL PRESS OFFICE-KREMLIN-REUTERS

■河東 クリミアで付け加えると、問題なのは(半島南西部にある)セバストポリの軍港です。ロシア海軍の黒海艦隊にとっては、米軍の真珠湾のような主要な軍港。そこをウクライナに獲られると本当に痛いし、もしそういう状況になったらプーチンが何をするのかが1つの注目点です。

そこで核を使うかもしれない。

■小泉 セバストポリの軍港はもちろん非常に重要ですが、いつ失われてもおかしくないこと自体はロシア側も認識している。(クリミアのロシア編入以前は)リース協定が更新できるかどうかはその時の(ウクライナの)政権によったわけです。

ロシアはヘッジ策を考えていて、黒海の自国側のノボロシースクに新しい海軍基地を造っており、これが大体完成している。セバストポリの基地のために核を使うかというと、そこまではやらないのではないか。

ただ、セバストポリという街の歴史的な重みや政治的な象徴性は間違いなくある。あそこが落ちるのは断じて政治的に容認できない、とプーチンが考えることはあり得る。

※対談記事の抜粋第3回:ロシア・CIA・親ウクライナ派、ノルドストリーム爆破は誰の犯行か 河東哲夫×小泉悠 に続く。


小泉 悠(軍事評論家)
東京大学先端科学技術研究センター(グローバルセキュリティ・宗教分野)専任講師。著書に『ウクライナ戦争』『「帝国」ロシアの地政学』など。

河東哲夫(本誌コラムニスト、元外交官)
外交アナリスト。ロシア公使、ウズベキスタン大使などを歴任。メールマガジン「文明の万華鏡」主宰。著書に『日本がウクライナになる日』『ロシアの興亡』『遙かなる大地』(筆名・熊野洋)など。

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